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相続登記の3年期限を過ぎてしまいました。
今からでも名義変更できますか?

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

相続登記の3年期限を過ぎても名義変更は可能か?

Q 相続登記の3年期限を過ぎてしまった場合でも、今から名義変更の手続きはできますか?
A 【結論と期限のルール】はい、期限を過ぎていても相続登記(名義変更)の手続きを行うことは可能です。申請期限は原則として「相続の開始と不動産の取得を知った日から3年以内」ですが、過ぎても所有権を失うことはありません。
【ペナルティと対策】ただし、正当な理由なく放置し続けると10万円以下の過料(罰則)が科される恐れがあります。ペナルティや将来の権利トラブルを防ぐためにも、速やかに戸籍等の必要書類を集めて法務局へ登記申請を行ってください。複雑な手続きや過去の相続でお困りの場合は、弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

結論から申し上げますと、相続登記の申請期限である「3年」を過ぎてしまっても、今から名義変更の手続きを行うことは十分に可能です。期限が切れたからといって、不動産の所有権を失ったり、法務局で申請の受付を拒否されたりすることはありません。

しかし、名義変更をしないまま放置し続けると、最大10万円の過料(罰則)が科されるリスクが高まります。ペナルティを回避するためには、過料の通知が届く前に、速やかに戸籍等の必要書類を収集して法務局へ登記申請を行うことが極めて重要です。

相続登記義務化の基礎知識と「3年期限」の考え方

2024年(令和6年)4月1日より、これまで任意であった相続登記が法律によって義務化されました。所有者不明土地問題の解消を目的とした法改正であり、不動産を取得した相続人は一定期間内に名義変更を行わなければなりません。

相続登記の期限はいつから3年?

相続登記の申請期限は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」です。

また、義務化がスタートした2024年4月1日より前に発生した過去の相続についても義務化の対象となります。過去の相続の場合、「2024年4月1日」または「自分が相続人であることを知り、不動産の所有権を取得したと知った日」のいずれか遅い日から3年以内(最長でも2027年3月31日まで)に手続きを行わなければなりません。

2026年4月からは住所変更登記も義務化

関連する法改正として、2026年(令和8年)4月からは「住所変更登記・氏名変更登記」の義務化も施行されます。所有権の登記名義人の住所や氏名に変更があった場合、変更から2年以内に登記申請が必要となり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象となります。

期限を過ぎた場合に科されるペナルティ(過料)の仕組み

相続登記の期限を過ぎてしまった場合、直ちに警察に逮捕されるような刑事罰ではありませんが、行政上の罰則として10万円以下の過料が科される可能性があります。

過料が科されるまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 法務局の登記官が、相続登記がなされていないことを把握する
  2. 登記官から相続人に対し、登記申請を促す催告(通知)が届く
  3. 正当な理由なく催告に応じない場合、登記官が裁判所へ通知する
  4. 裁判所が過料の決定を行い、過料の支払い通知が送付される

つまり、期限を過ぎてしまっていても、法務局からの催告を受ける前や、催告を受けてからすぐに登記手続きを行えば、過料を回避できる可能性が非常に高いと言えます。

過料が免除される「正当な理由」とは?

事情により期限内に手続きができなかった場合、以下のような「正当な理由」があれば過料が科されないとされています。

  • 相続人が極めて多数にのぼり、戸籍謄本等の収集や相続人の把握に長い時間を要する場合
  • 遺言の有効性や遺産の範囲について裁判所で争っている場合
  • 申請義務者自身に重病やDV被害などのやむを得ない事情がある場合
  • 経済的な困窮により、登記費用を負担できない場合

ただし、「制度を知らなかった」「単に忘れていた」といった理由は正当な理由として認められにくいため、早急な対応が必要です。

今から名義変更を行うための具体的なステップ

期限を過ぎていることが判明したら、以下の手順で速やかに名義変更を進めましょう。

1. 必要書類(戸籍等)の収集

まずは誰が相続人であるかを確定させ、登記に必要な書類を揃えます。

  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票の写し
  • 不動産の固定資産評価証明書(名義変更をする年度のもの)

2. 遺言書の確認または遺産分割協議

遺言書がある場合は、その内容に従って登記申請を行います。遺言書がない場合は、相続人全員で「誰が不動産を取得するか」を話し合う遺産分割協議を行い、協議書を作成して全員の実印を押印・印鑑証明書を添付します。

3. 法務局への登記申請

必要な書類と申請書を揃え、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。申請には登録免許税(原則として不動産評価額の0.4%)の納付が必要です。

遺産分割が難航している場合は「相続人申告登記」を活用

相続人同士の意見がまとまらず、すぐに名義変更ができない場合は、「相続人申告登記」という制度を利用できます。

これは、「自分が相続人であること」を法務局に申し出ることで、暫定的に相続登記の義務を果たしたとみなされる制度です。過料の発生を防ぐ緊急避難的な措置として有効ですが、あくまで所有権移転の登記ではないため、将来的に遺産分割が成立した際は、成立から3年以内に改めて正式な相続登記を行う必要があります。

まとめ

相続登記の3年期限を過ぎてしまった場合でも、今から名義変更の手続きを行えば、過料を回避できる可能性が十分にあります。必要書類の収集や遺産分割協議に不安がある場合は、放置せず早めに相続や登記に詳しい弁護士などの専門家へご相談ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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