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親が「有料老人ホームの入居一時金」を払って1ヶ月で死亡しました。
返金される?

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

親が有料老人ホームに入居後すぐに亡くなった場合、入居一時金は返金されるのか?

Q 親が有料老人ホームに入居一時金を支払った後、わずか1ヶ月で亡くなってしまいました。支払った一時金は返金されるのでしょうか?
A 【返金の仕組みと法的根拠】結論から言うと返還されます。法定のクーリングオフ制度(入居後30日以内)の適用期間内、あるいは契約上の初期償却期間内であれば、日割り計算等により未償却分の数百万円が相続人に返還されます。
【注意点と相続手続きのポイント】入居一時金の返還請求権は相続財産に含まれるため、遺産分割協議の対象となります。ホームとの契約内容や償却期間の起算日を確認の上、早めに弁護士等の専門家に相談し、正確な手続きを進めることが重要です。

親が有料老人ホームに入居したものの、急な体調悪化などにより、わずか1ヶ月ほどで亡くなってしまうケースは決して少なくありません。この時、高額な入居一時金がどうなるのかは、残された相続人にとって非常に切実な問題です。

結論からお伝えすると、入居一時金は全額が没収されるわけではなく、原則として未償却分が返還されます。本記事では、有料老人ホームの入居一時金が返金される仕組みや法律上の根拠、そして返還請求における注意点を詳しく解説します。

入居一時金が返還される2つの法的・契約上の根拠

有料老人ホームの一時金が戻ってくる仕組みには、主に法的根拠に基づくものと、契約上の規定に基づくものの2パターンがあります。それぞれの詳細を確認していきましょう。

1. 法定のクーリングオフ制度による全額返金

老人福祉法により、有料老人ホームの契約にはクーリングオフ制度が適用されます。

  • 入居契約締結日の翌日から起算して30日以内であれば、書面(電磁的記録を含む)によって契約の解除が可能である
  • クーリングオフを行った場合、受領済みの入居金などは全額返還しなければならない
  • 契約解除までの間にホームでサービスを利用していたとしても、その利用料などを請求されることは原則としてない

もし親御様が入居されてから30日以内に亡くなられた場合、このクーリングオフを適用することで、支払った一時金を全額そのまま取り戻せる可能性があります。

2. 初期償却期間内における未償却分の返還

クーリングオフ期間(30日間)を過ぎてしまっていた場合でも、入居一時金は戻ってくる仕組みになっています。これが「初期償却」および「日割り計算(または月割り計算)」の仕組みです。

  • 消費者契約法の観点や行政指導により、多くの有料老人ホームでは「初期償却(入居時に一括して償却される費用)」の期間が設定されている
  • 一般的に、初期償却期間は「3ヶ月以内」などと定められていることが多く、その期間内に契約終了(死亡退去)となった場合は、初期償却分を除いた未償却分の全額が返還される
  • 1ヶ月で亡くなったケースであれば、初期償却期間内であることが多く、数百万円単位の返金が受けられる可能性が高い

返金手続きにおける注意点と相続における扱い

有料老人ホームからの返還金を受け取るにあたり、相続人はいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

返還金は「相続財産」になる

ホームから返還される一時金は、亡くなった親御様(被相続人)の財産、すなわち相続財産(遺産)となります。

  • 相続人が複数いる場合、返金された一時金は遺産分割の対象となる
  • 特定の相続人だけが勝手に受け取って自分のものにすることはできず、原則として法定相続分または遺産分割協議に従って分配する
  • 故人の預貯金口座に振り込まれるケースが多いため、その後の相続手続き(遺産分割や場合によっては相続放棄など)に影響を与える点に注意が必要である

契約書と重要事項説明書の確認を急ぐべき理由

親御様が亡くなられた後、遺族は速やかに当該有料老人ホームの「入居契約書」および「重要事項説明書」を確認しなければなりません。

  • 返還金の算定方法や、返還までの期日(例:退去後30日以内など)が細かく規定されている
  • ホーム側から「手続きには相続人全員の同意書と印鑑証明書が必要」と言われることが多い
  • トラブルを防ぐためにも、死亡診断書を取得した後は、速やかにホームの担当者に連絡し、返還手続きのフローを確認しよう

相続した不動産の登記義務化など最新の法改正にも注意

親御様が有料老人ホームに入居する際、自宅を売却せずに空き家として残しているケースも多く見られます。ここで、近年施行された重要な法律の変更点についても触れておきます。

2024年4月から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を行わなければペナルティ(過料)が科されるようになりました。さらに、2026年4月からは住所変更登記の義務化も始まります。

有料老人ホームの一時金返還請求とあわせて、ご親族が遺した不動産の相続手続きや名義変更についても、期限内に適切に対応することが求められます。

もし、有料老人ホーム側との返還金の金額算出で揉めた場合や、他の相続人との間で遺産分割の話し合いが難航している場合は、一人で悩まずに相続問題に強い法律の専門家に相談することをおすすめします。正確な法律知識を持って交渉にあたることで、正当な権利を守り、スムーズな解決へと導くことができます。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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