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親が亡くなった後、銀行で残高証明書を取るには相続人全員の判コが必要ですか?

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親が亡くなった際、遺産分割協議を進めるためや相続税の申告のために、故人の預貯金残高を正確に把握する必要があります。その際によくある疑問として「銀行で残高証明書を発行してもらうには、相続人全員の判こ(実印や認印)が必要なのではないか」という点が挙げられます。

結論から申し上げますと、相続人全員の判こは必要ありません。相続人のうちの1人から単独で、故人の全口座の残高証明書を取得することが可能です。この記事では、必要書類や手続きの流れについて詳しく解説します。

亡くなった親の銀行口座の残高証明書は1人だけで取得できる

Q 親の銀行口座の残高証明書を取るには、相続人全員の判こが必要ですか?
A 必要ありません。相続人のうちの1人から単独で、故人の全口座の残高証明書を取得することができます。他の相続人の同意や署名・押印も原則として不要です。

銀行で故人の残高証明書を取得する際、相続人のうちの1人が単独で窓口に行けば手続きを行うことができます

遺産分割協議の前段階であっても、相続人としての権利を示すことができれば、他の相続人全員の同意書や署名・捺印は求められません。「遠方に住んでいる相続人がいて全員分の書類を集めるのが大変だ」「他の相続人とまだ連絡がついていない」という場合でも、一人でスムーズに取得の手続きを進めることができます。

残高証明書とは何か、なぜ必要なのか

残高証明書とは、被相続人(亡くなった親)が亡くなった日(基準日)時点において、その銀行にいくらの預貯金残高があったのかを証明する公的な書面です。

主な用途としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 相続税の申告:正確な遺産総額を算出し、申告書に添付するため
  • 遺産分割協議:すべての財産を漏れなく把握し、公平な分割話し合いを行うため
  • 特別受益や寄与分の主張:具体的な相続分を計算する資料とするため

通帳の記帳だけでは過去の取引履歴や正確な遅延利息などが分からないため、金融機関に正式な「残高証明書」の発行を依頼することが一般的です。

残高証明書を単独で取得するための必要書類

金融機関によって細かな規定が異なる場合がありますが、一般的に相続人が単独で残高証明書を取得するためには、以下の書類を持参する必要があります。

  • 被相続人の死亡事実が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本、改製原戸籍など、出生から死亡までの連続した戸籍)
  • 手続きを行う相続人が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 手続きを行う相続人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 手続きを行う相続人の印鑑(シャチハタ不可。銀行届出印である必要はありませんが、認印または実印を持参すると安心です)
  • 被相続人の通帳やキャッシュカード(口座番号が分かるもの。なくても手続きできる場合もありますが、あるとスムーズです)

戸籍謄本等は、被相続人の死亡時点における相続人を確認するために必須となります。また、金融機関所定の「残高証明書発行依頼書」に記入・押印することになりますが、ここで使用する印鑑は単独で取得する場合、手続きに来た相続人のもの(認印可)で足りるケースがほとんどです。

金融機関ごとの手数料と注意点

残高証明書の発行には、各金融機関が定める所定の発行手数料がかかります。

  • 手数料の目安:1通につき数百円から1,000円程度(口座ごと、または口座の種類ごとに手数料がかかる場合があります)
  • 必要日数:窓口で即日発行される場合もありますが、過去の取引分を含める場合などは後日郵送や再来店となることもあります

また、金融機関の窓口は平日の日中しか開いていないため、遠方の銀行である場合や仕事の都合がつかない場合は、郵送による請求を受け付けているか事前に確認することをおすすめします。

相続手続きにおける注意点と近年の法改正について

残高証明書の取得は相続人の1人から可能ですが、実際に口座から預貯金を引き出す「払い戻し手続き」や「解約・名義変更」の段階になると、原則として相続人全員の同意(遺産分割協議書や全員の署名・実印が押された書類)が必要になります。

残高証明書の取得は、あくまで財産を「調査・把握」するためのステップに過ぎない点に注意しましょう。

また、相続に関連する法制度は近年大きな変化を迎えています。

  • 2024年4月より相続登記が義務化:不動産に関する法改正ですが、預貯金とあわせて相続財産全体の早期の把握・整理が不可欠となっています。
  • 2026年4月までに開始する住所変更登記の義務化なども含め、相続手続き全般を放置することへのペナルティやリスクが高まっています。

「誰の判ことも要らずに単独で取得できる」という残高証明書の性質を上手に活用し、まずは故人の財産状況を正確に把握することから、円滑な相続手続きをスタートさせましょう。複雑な財産調査や他の相続人との調整にお悩みの場合は、専門家である弁護士や司法書士への相談もぜひご検討ください。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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