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婚姻期間20年以上の夫婦の「おしどり贈与(最高2110万円非課税)」手続き

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

婚姻期間20年以上の夫婦間で使える「おしどり贈与」とは?

Q 婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与(おしどり贈与)では、いくらまで非課税になり、どのような手続きが必要ですか?
A 【非課税枠と適用要件】基礎控除の110万円と合わせて最高2,110万円までが非課税となります。対象は日本国内の居住用不動産またはその取得資金で、法律上の婚姻期間が20年以上であることが必須です。
【手続きと注意点】贈与を受けた年の翌年2月15日から3月15日までに税務署へ贈与税の申告を行う必要があります。また、不動産の登記費用や不動産取得税がかかるため、事前の正確なシミュレーションと専門家への相談が安全です。

長年连れ添った夫婦の間で、自宅の不動産やその購入資金を贈与する場合、贈与税の配偶者控除(通称:おしどり贈与)という特例を利用できます。この特例を適用することで、最高2,110万円(基礎控除110万円を含む)までの財産移転が非課税となります。

配偶者への感謝や老後の生活保障、将来の相続税対策として非常に有効な手段ですが、利用するためには厳格な要件や法的な手続きをクリアしなければなりません。正しく制度を理解し、適切に手続きを進めましょう。

おしどり贈与を受けるための3つの要件

この特例の適用を受けるためには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。一つでも欠けていると特例は使えませんので注意が必要です。

1. 婚姻期間が20年を過ぎていること

法律上の婚姻関係にある期間が、贈与を行った日において20年以上であることが必須です。事実婚(内縁関係)や、離婚後に再婚した場合は、前婚の期間は通算されません。

2. 配偶者から「自宅不動産」または「取得資金」の贈与を受けること

贈与の対象となる財産は、日本国内にある居住用不動産(土地・建物)、またはその居住用不動産を取得するための金銭に限られます。店舗や事務所など、居住用以外の不動産は対象外です。

3. 贈与を受けた年の翌年2月15日から3月15日までに申告すること

特例の適用を受けるためには、贈与税が基礎控除額(110万円)以下であっても、税務署へ期限内に贈与税の申告書を提出しなければなりません。期限を過ぎると特例が受けられなくなりますので、スケジュール管理が重要です。

おしどり贈与のメリットと将来の相続への影響

おしどり贈与を利用することには、大きなメリットがある一方で、慎重に検討すべき点もあります。

メリット:税負担を抑えながら自宅を移転できる

最大のメリットは、高額な不動産を配偶者に生前贈与しても、贈与税の負担を大幅に軽減またはゼロにできる点です。配偶者に名義を変えておくことで、万が一の相続の際に、遺産分割協議で自宅を巡るトラブルを防ぐ効果も期待できます。

注意点:相続税の「配偶者の税額軽減」との違い

相続税には、配偶者が取得した財産について「法定相続分または1億6,000万円まで」無税となる手厚い特例があります。そのため、相続税の総額が基礎控除内に収まるようなご家庭では、あえて多額の費用をかけて生前贈与をする必要性が低い場合もあります。

贈与から登記、税金申告までの具体的な手続きの流れ

おしどり贈与を実行するには、いくつかのステップを踏む必要があります。法改正に伴う手続き上の注意点も含めて流れを確認しましょう。

1. 不動産の評価額の確認と贈与契約の締結

まず、贈与する不動産の固定資産評価額を調べます。贈与契約書を作成し、いつ、どのような条件で不動産を贈与するのかを明確にします。

2. 法務局での所有権移転登記手続き

不動産の所有権を移転するため、管轄の法務局で所有権移転登記を行います。

  • 登録免許税の発生:不動産の固定資産税評価額の2%が登録免許税として課されます。
  • 2024年(令和6年)4月以降の相続登記・住所変更登記の義務化に伴い、不動産登記に関するルールは厳格化しています。正確な書類作成が求められるため、司法書士などの専門家への依頼をおすすめします。

3. 税務署への贈与税申告書の提出

贈与を受けた年の翌年の2月15日から3月15日までの間に、所轄税務署へ必要書類を添えて申告書を提出します。

  • 戸籍謄本(婚姻期間20年を証明するため、発行日などに注意)
  • 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 居住用不動産の評価証明書
  • その他税務署が指定する書類

4. 不動産取得税の納税

不動産の贈与を受けた数ヶ月後、都道府県から不動産取得税の納税通知書が届きます。これは生前贈与によって不動産を取得したことに対する地方税です。おしどり贈与の場合、一定の要件を満たせば建物部分の税金が軽減される特例がありますが、こちらも申請手続きが必要です。

まとめ:複雑な手続きや判断は専門家にご相談ください

婚姻期間20年以上の夫婦間における「おしどり贈与」は、節税や将来の安心につながる強力な制度です。しかし、不動産の評価、登記手続き、税務申告、さらには将来の相続全体を見据えた総合的な判断が求められます。

「我が家の場合は本当に得になるのか」「どのような手順で進めれば確実か」とお悩みの方は、不動産登記の専門家である司法書士や、税金の専門家である税理士などの専門事務所へ早めにご相談ください。法律と実務の両面から、あなたの大切な財産移転をしっかりとサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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