非上場企業(同族会社)の株式を相続した場合、上場企業のように市場価格が存在しないため、独自のルールに基づいて相続税評価額を算出する必要があります。株式の評価額は相続税の納税額に直結するため、その計算メカニズムを正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、非上場株式の評価において中心となる「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」について、会社の規模に応じた使い分けや評価の仕組みを分かりやすく解説します。
非上場株式の評価方式はどう決まるのか?
非上場株式の評価額を計算する際、まずは会社の規模を判定する必要があります。会社の規模は、「従業員数」「直近2期の取引金額(売上高)」「総資産価額(帳簿価額ベース)」を基準に、大会社・中会社(中会社はさらに「大・中・小」に分かれる)・小会社のいずれかに区分されます。
会社の規模が大きいほど上場企業に近づくため、業界の平均値と比較する方式の比重が高くなります。逆に小会社の場合は、会社が保有する実際の純資産の価値を重視した評価方式が適用されます。
会社の規模に応じた評価方式の適用関係
規模の判定によって、以下のいずれの方式を用いて評価するか基地が決定されます。
- 大会社:原則として「類似業種比準方式」のみ(一部、純資産価額方式の選択も可)
- 中会社:「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」を併用(会社の規模に応じて比率が変動)
- 小会社:原則として「純資産価額方式」(類似業種比準方式を選択することも可能)
類似業種比準方式とは
類似業種比準方式は、評価する会社と「事業が似ている上場企業(類似業種)」の株価、配当金額、利益金額、純資産価額を比較して、自社株の評価額を算出する方式です。
この方式の特徴は、会社の「利益」や「配当」が多いほど株価が高くなる点です。そのため、利益を上げている優良企業であっても、役員報酬の適正化や設備投資などによって利益や配当をコントロールできれば、評価額を抑制(株価引き下げ)する対策が可能となります。
また、大会社に該当する場合は基本的にこの方式のみで評価されるため、純資産価額方式に比べて評価額が低くなるケースが多く見られます。
純資産価額方式とは
純資産価額方式は、会社が保有しているすべての資産(土地、建物、現金、有価証券など)の時価の合計額から、負債の合計額を差し引いた「純資産価額(時価ベース)」をベースに1株当たりの株価を算出する方式です。
この方式のポイントは以下の通りです。
- 保有資産の時価評価:土地や建物などの固定資産は、相続税評価額(路線価や固定資産税評価額)に置き換えて計算します。
- 含み益に対する課税考慮:含み益(時価が帳簿価額を上回る分)がある場合、将来売却した際にかかる法人税等相当額(原則として37%)を控除した後の金額で評価します。
小会社や資産保有型の会社(不動産賃貸業など)では、この純資産価額方式が適用されるケースがほとんどです。土地や建物などの実物資産を多く抱える会社の場合、資産の時価がそのまま株価に反映されるため、評価額が高くなりやすいという特徴があります。
自社株の評価引き下げと事前の対策が重要な理由
非上場株式の相続では、会社の財務状況や資産状況によって税負担が大きく変動します。特に、相続税の申告期限間際に慌てて対応するのではなく、生前からの計画的な対策が不可欠です。
例えば、以下のようなアプローチによって評価額を引き下げることが検討されます。
- 類似業種比準方式を活用できる環境づくり(大会社・中会社の判定を有利にする)
- 不動産の購入や活用による資産の圧縮(純資産価額の引き下げ)
- 定期的な株式の贈与による分散(納税負担の軽減)
非上場株式の評価や会社の規模判定は非常に複雑であり、誤った計算を行うと税務調査で追徴課税を受けるリスクもあります。また、2024年の相続登記義務化や将来の事業承継を見据えて、早めに専門家へ相談することをお勧めいたします。自社株の評価や対策に関するご不明点は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
📜 相続トラブル・遺産分割のお悩みは夕陽ヶ丘法律事務所へ
戸籍一括収集から不動産名義変更(登記)・遺産分割協議までワンストップ対応。
親族間の対立や複雑な手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
- 初回相談料: 0円(30分無料)
- 明確な料金体系: 事前に見積提示・着手金分割相談OK
- 名義変更・不動産登記: 担当弁護士が直接対応・税理士とも連携