相続したものの、利用価値が低く維持管理に困る不動産が増加している背景から、国は所有者不明土地問題の解消に向けた対策を急ピッチで進めています。その一環として設けられたのが、「相続登記の免税措置」です。
特に、評価額が低い土地については登録免許税が免除される特例があり、相続人の金銭的負担を軽減する仕組みが整えられています。この記事では、土地の価格が「100万円以下」の場合に適用される登録免許税の非課税ルールと、適用条件についてわかりやすく解説します。
相続登記の免税措置とは?100万円以下の土地にかかる非課税ルールの基本
通常、不動産の相続登記を行う際には、固定資産税評価額の0.4%に相当する「登録免許税」を国に納めなければなりません。しかし、過疎化が進む地域や利用価値の低い土地において、登記費用が負担となって放置されるケースが後を絶たなかったため、特例措置が導入されました。
この特例により、市街化区域外にある土地であって、固定資産税評価額が100万円以下のものについて、相続人が受ける所有権の移転登記にかかる登録免許税が全額免除(免税)されます。
令和7年(2025年)4月の法改正による優遇措置の延長
当初、この免税措置には期限が設けられていましたが、所有者不明土地対策の重要性から法律の改正が行われました。
現在では適用期限が延長されており、令和8年(2026年)3月31日までに受ける相続登記についても、引き続きこの免税措置が適用されます。期限間際になると申請が混み合う可能性があるため、対象となる土地をお持ちの場合は、早めに手続きを進めることが賢明です。
免税措置が適用される主な条件と対象となる土地
全ての土地が無条件で免税になるわけではありません。適用を受けるためには、法律で定められた厳格な要件をクリアする必要があります。主な条件は以下の通りです。
- 対象となる土地の固定資産税評価額が100万円以下であること
- 土地の所在地が「都市計画法における市街化区域外」であること(主に過疎地の山林、農地、原野、地方の宅地などが該当します)
- 登記申請の期限内(令和8年3月31日まで)に手続きを行うこと
特に注意すべきなのは、「市街化区域」にある土地は対象外という点です。都市部の価値ある土地や宅地は原則として免税の対象になりません。実質的に利用価値が低く、買い手が見つかりにくい地方の山林や私道などが主なターゲットとなっています。
具体的にどのような土地が対象になりやすいか
日々の法律相談において、次のような土地でこの免税措置を活用されるケースが多く見られます。
- 故人が遠方に所有していた、ほとんど価値のない山林や原野
- 実家の周辺にある、地続きの細かな畑や雑種地
- 分譲地内の共有持分となっている私道(道路部分)
これらの土地は、売却しても利益が出ないどころか、固定資産税や維持費のほうが高くつくことも少なくありません。そのため、「相続放棄はしたくないが、余計な税金や費用はかけたくない」という相続人にとって、非常にメリットが大きい制度といえます。
相続登記が義務化された今、免税措置を活用して速やかな手続きを
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の申請が法律により「義務化」されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければ、10万円以下の過料(ペナルティ)が科されるおそれがあります。
また、2026年4月からは住所変更登記の義務化も控え、国全体で不動産の所有者情報をクリアにしようとする動きが加速しています。
「価値のない土地だから放置してもよい」という時代は終わりを告げました。価値が低い土地であっても、放置すれば法的な罰則のリスクや、次の世代への負の遺産となってしまいます。
手続きを進める際の注意点
免税措置を利用して相続登記を申請する際には、通常の必要書類(遺産分割協議書や戸籍謄本など)に加え、対象土地の固定資産評価証明書などによって「評価額が100万円以下であること」や「市街化区域外にあること」を証明する必要があります。
法務局への申請書類の作成や添付書類の収集をご自身で行うのが難しい場合は、司法などの専門家に代行を依頼することで、スムーズかつ確実な手続きが可能になります。
相続した土地の固定資産税評価額を確認し、100万円以下に該当する場合は、ぜひこの登録免許税の免税措置を有効に活用してください。
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