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故人が「同人誌・電子書籍の印税」を得ていた場合のプラットフォーム照会

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

ご家族が亡くなられた際、故人が生前に同人誌の頒布や電子書籍の出版を行っていた場合、遺産相続の手続きにおいて「デジタル遺産」の存在を忘れてはなりません。特に、DLsiteやAmazon Kindleなどのプラットフォームから得られていた未払い印税の相続は、見落とされやすい重要なポイントです。

この記事では、故人がネット上で収益を得ていた場合のプラットフォームへの照会方法や、未払い印税を適切に相続するための手順について、法律と実務の観点からわかりやすく解説します。

デジタルプラットフォームからの未払い印税は相続財産になるのか?

Q 故人がDLsiteやKindleなどのデジタルプラットフォームで得ていた未払い印税は、相続の対象になりますか?
A 【法律・手続きの要点】はい、故人が生前に得ていた未払いの印税や売上金を受け取る権利は金銭債権であり、すべて相続財産(遺産)の対象となります。形のないデジタル資産であっても経済的な価値を持つため、相続税の申告対象に含まれ、相続人全員による遺産分割協議を行う必要があります。
【対策・注意点】プラットフォームごとに異なる利用規約を確認し、アカウントの故人確認や照会手続きを進める必要があります。デジタル遺産の把握漏れを防ぎ、トラブルなく適切に遺産分割を行うためにも、早めに専門家である弁護士へ相談することをおすすめします。

故人が作家やクリエイターとして活動し、DLsite、pixivFANBOX、Amazon Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)などのプラットフォームを利用していた場合、蓄積された売上金や未払い印税は大切な金銭債権です。

これらは形のないデジタル資産であっても、経済的な価値を持つ財産にほかならず、相続税の申告対象にも含まれます。したがって、放置することなく正確に把握し、遺産の範囲に含めなければなりません。

放置するリスクと「2024年相続登記義務化」等の背景

近年、不動産だけでなく、預貯金や株式、そしてデジタル資産を含めた「全ての財産の適切な把握と管理」の重要性が増しています。2024年からは相続登記の義務化もスタートしており、国全体として被相続人の権利関係をクリアにする動きが強まっています。

デジタル上の未払い印税を放置すると、プラットフォーム側の規約によるアカウント失効や、最悪の場合には売上金が没収されるリスクもあります。早めの確認と適切な手続きが求められます。

各プラットフォームへの照会手順と注意点

未払い印税を回収するためには、まず故人がどのようなプラットフォームを利用していたかを特定し、運営会社へ連絡・照会を行う必要があります。

1. 故人のデバイスやメールの確認

プラットフォームを特定する最も確実な方法は、故人のパソコンやスマートフォン、メール履歴の確認です。

  • 登録完了メールや月別の売上報告メールの有無を確認する
  • ブラウザのパスワード保存機能やブックマークからクリエイター向けページを探す
  • 確定申告の控えや銀行口座の入出金履歴から、不自然な入金元(プラットフォームの運営会社名など)がないか調べる

2. 利用規約(利用規約とアカウントの継承)の確認

プラットフォームごとに、契約者の死亡時の扱いについての規定(利用規約)が異なります。一般的に、アカウント自体の他者への譲渡や相続は禁止されているケースが大半です。

しかし、「アカウントの継続利用」は認められなくとも、「発生済みの未払い売上金を受け取る権利」までが消滅するわけではありません。相続人が正当な権利者であることを証明することで、未払い分を金銭として清算・払い戻してもらえるケースがほとんどです。

3. プラットフォーム運営会社への問い合わせ方法

運営会社へ問い合わせる際は、相続人であることを証明するための書類が求められます。主に以下の書類が必要になります。

  • 故人の死亡が確認できる戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 問い合わせをしている人が相続人であることを証明する書類
  • 相続人代表者の本人確認書類

サポート窓口の指示に従い、指定のフォーマットや郵送で書類を提出することで、未払い印税の確定残高の開示や口座振込の手続きが進められます。

アカウント閉鎖や権利処理における実務上の注意点

未払い印税の回収と同時に、故人の著作物やアカウントの今後の扱いについても決めておく必要があります。

著作権そのものの相続

印税を生み出すもととなった「著作権」自体も、他の財産と同様に相続の対象となります。著作権は、原則として死亡後70年間存続します。

同人誌や電子書籍の著作権は、相続人全員の共有財産となるか、遺産分割協議によって特定の相続人が単独で取得することになります。今後の販売継続や絶版(販売停止)の手続きを行う上でも、著作権の帰属を明確にしておくことが不可欠です。

トラブルを防ぐためのポイント

デジタル遺産の調査やプラットフォームとのやり取りは、一般的な銀行口座の解約手続きよりも時間と手間がかかる傾向があります。

  • パスワードが不明な場合、二段階認証の解除などでサポートとのやり取りに時間がかかることがある
  • プラットフォームの運営会社が海外企業(Amazon等)の場合、英語でのやり取りや海外の法規制が絡み、手続きが複雑化するケースがある

もし故人の生前の活動規模が大きく、売上や関係するプラットフォームが多岐にわたる場合は、無理に個人で抱え込まず、相続問題に強い専門家に相談することも視野に入れましょう。正確な財産調査を行うことで、後々の相続人間でのトラブルを未然に防ぐことができます。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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