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相続税の「基礎控除」とは?
いくらまでなら税金がかからない?
計算式

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

大切な方が亡くなった後、遺されたご家族にとって大きな関心事の一つが「相続税」です。「うちのような一般的な家庭でも税金がかかるのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

相続税には「基礎控除」という仕組みがあり、遺産の総額がこの金額以下であれば、税金は一切かからず、税務署への申告も不要になります。本記事では、基礎控除の具体的な計算方法や、よくある疑問について分かりやすく解説します。

相続税の基礎控除とは?いくらまで無税になる?

Q 相続税の基礎控除額はいくらですか?計算方法と法定相続人の数え方を教えてください。
A 【基礎控除の計算式とルール】相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という計算式で算出します。遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は一切かからず税務署への申告も不要です。なお、相続放棄をした人がいる場合でも、法定相続人の数には含めて計算できる点に注意が必要です。
【遺産分割と専門家活用のポイント】正確な基礎控除額を算出するためには、法定相続人の範囲を遺言書や戸籍謄本の収集によって正しく確定させなければなりません。もし遺産総額が基礎控除を超える可能性がある場合や、相続人間で揉めるおそれがある場合は、相続トラブルを防ぐためにも早い段階で弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

相続税の負担を軽減するため、すべての被相続人(亡くなった方)に一定の非課税枠が認められています。これが基礎控除です。

計算式は非常にシンプルで、以下の通りとなります。

【基礎控除の計算式】 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

この計算式の意味を正しく理解するために、まずは「法定相続人」が何人になるのかを正確に把握する必要があります。

法定相続人の数え方と注意点

法定相続人とは、民法で定められた遺産を受け継ぐ権利を持つ人のことです。配偶者は常に相続人となり、血族には以下の優先順位があります。

  • 第一順位:子(子が亡くなっている場合は孫)
  • 第二順位:親(直系尊属)
  • 第三順位:兄弟姉妹

ここで重要な注意点が2つあります。

一つ目は、「相続放棄をした人がいても、法定相続人の数には含める」という点です。例えば、借金が多いなどの理由で相続放棄をした人がいたとしても、基礎控除の計算における人数は減りません。

二つ目は、「養子の人数には制限がある」ということです。相続税の節税目的で養子を増やすことを防ぐため、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は最大2人までしか法定相続人の数に算入できません。

具体的な計算シミュレーション

それでは、実際にどれくらいの金額まで無税になるのか、家族構成別のパターンを見てみましょう。

  • 配偶者と子供2人の場合(相続人3人) 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円 遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

  • 配偶者のみの場合(相続人1人) 3,000万円 + 600万円 × 1人 = 3,600万円 遺産総額が3,600万円以下であれば、相続税はかかりません。

このように、都市部に自宅の土地や建物をお持ちの場合などは、この基礎控除額を簡単に超えてしまうケースが少なくありません。

基礎控除額と遺産総額を正確に比較する方法

基礎控除の計算ができたら、次は「遺産総額」がいくらになるのかを正確に計算し、比較する必要があります。

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も合算する

遺産総額を計算する際は、価値のある財産だけでなく、借金などのマイナス財産も考慮します。

  • プラスの財産の例 現金、預貯金、土地、建物、株式、投資信託、生命保険金(一定の非課税枠あり)、死亡退職金、ゴルフ会員権など

  • マイナスの財産の例 借入金、住宅ローン、未払金(医療費や税金など)

※なお、お墓や仏壇、仏具などの「祭祀財産」は相続税の非課税財産となるため、遺産総額には含めません。

令和の法改正における注意点(不動産と登記の義務化)

相続財産の大部分を占めることが多い「不動産」については、正確な評価額を算出する必要があります。また、近年の法改正により、相続によって不動産を取得した場合は、相続開始から3年以内に相続登記を行うことが義務化されています。

遺産分割協議がまとまらない場合でも、まずは基礎控除を超えるかどうかの正確な財産調査を行うことが、後のトラブルを防ぐ第一歩となります。

配偶者の税額の軽減(配偶者の特例)とは?

「うちの遺産は基礎控除を超えそうだけど、配偶者が全額を相続する予定だ」という場合、もう一つの強力な制度である「配偶者の税額の軽減(配偶者の特例)」が利用できます。

この特例を使うと、配偶者が実際に取得した遺産の額が、以下のどちらか大きい金額までは、相続税が一切かかりません。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

つまり、配偶者が遺産を相続する場合、実質的に1億6,000万円までは相続税が課されない仕組みになっています。

ただし、この特例の適用を受けるためには、遺産分割協議が完了していること、そして税務署に対して相続税の申告を行うことが絶対条件となります。たとえ納税額が0円になる場合でも、申告を忘れてしまうとこの特例が使えなくなってしまうため注意が必要です。

相続税の基礎控除や各種特例の判定、申告手続きは、複雑で専門的な判断が求められます。少しでも不安がある場合は、相続に強い専門家へ早めに相談することをおすすめします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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