人生の中で突然訪れる大切な方の逝去。悲しみの中であっても、遺族はさまざまな法的手続きや期限のある事務処理を進めなければなりません。その中でも特に注意が必要なのが、故人の税金に関する手続きである「準確定申告」です。
故人が生前、会社員として給与所得のみを得ていた場合、通常であれば会社が年末調整を行うため、個人で確定申告をする必要はありません。しかし、会社員であっても特定の例外ケースに該当する場合には、遺族が代わって準確定申告を行う義務が生じたり、あるいは自発的に申告すべきケースが存在します。
本記事では、会社員だった故人であっても準確定申告が必要になる例外的なケースと、遺族にとって大きなメリットとなる還付請求の手続きについて分かりやすく解説します。
故人の準確定申告とは?会社員でも必要なケース
通常、会社員は年末調整によって所得税の精算が完結するため確定申告は不要ですが、亡くなられた年(1月1日から死亡日まで)の状況によっては、税務署への申告が必要になります。具体的には、以下のような例外ケースが挙げられます。
年間の給与収入が2,000万円を超えていた場合
所得税法上、年間の給与収入が2,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象外とされています。したがって、故人がこの基準を超える高額な給与を得ていた場合は、生前の所得について準確定申告を行う必要があります。
給与所得以外の所得が年間20万円を超えていた場合
会社員でありながら、副業として不動産賃貸や株式の譲渡、副業の雑所得などがあり、その年間所得の合計が20万円を超えていた場合は、確定申告の要件を満たすため、準確定申告が必要となります。
2ヶ所以上から給与を受けていた場合
メインの勤務先のほかに、別の会社からも給与を受けており、年末調整で合算されなかった所得がある場合も申告の対象となります。
医療費控除や寄付金控除などの適用を受ける場合(還付請求)
これらは「義務」ではなく「権利」としての申告ですが、生前に多額の医療費を支払っていた場合などは、準確定申告を行うことで納め過ぎた税金が還付(戻ってくる)されるため、遺族にとって大きなメリットとなります。
医療費控除による還付請求を遺族が行うメリット
故人が生前に病気やケガで多額の医療費を支払っていた場合、準確定申告によって医療費控除を適用することで、所得税の還付を受けられる可能性があります。
医療費控除の対象となる範囲
準確定申告における医療費控除では、故人が死亡するまでに本人や生計を一にしていた親族のために支払った医療費が対象となります。入院費用や手術費用だけでなく、通院のための交通費なども含まれるため、領収書や明細書をしっかりと確認することが重要です。
相続人全員に還付金が戻る
準確定申告によって還付される税金は、故人の遺産の一部となります。そのため、相続人全員の法定相続分に応じて受け取る権利が発生します。還付請求を行うことは、相続財産を適正に増やすことにも直結するため、遺族にとって見逃せない手続きといえます。
準確定申告の期限と注意点
準確定申告には、通常の確定申告とは異なる厳格な期限が定められています。
申告・納税の期限
準確定申告の期限は、相続人が故人の死亡を知った日の翌日から「4ヶ月以内」です。通常の確定申告(3月15日)とは起算点が異なるため注意が必要です。もし期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されるおそれがあります。
近年の法改正を踏まえたスムーズな対応を
相続手続きにおいては、2024年4月から相続登記が義務化されるなど、国を挙げた権利関係の明確化が進んでいます。税務に関する準確定申告も、相続財産の全容を把握する上で最初の重要なステップとなります。故人の預貯金口座が凍結される前に、生前の領収書や源泉徴収票などの必要書類を速やかに収集しましょう。
会社員だった故人の準確定申告は、判断に迷うケースも少なくありません。ご不安な点がある場合は、税理士などの専門家に相談しながら、期限内に確実な手続きを進めることを強くおすすめいたします。
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