親が亡くなった後、「きょうだいが勝手に親の預金を引き出して使い込んでいた」というトラブルは非常に多く寄せられる相談の一つです。しかも、その使い込んだ本人が「お金はもう使ってしまって無いからないものは返せない」と居直るケースも少なくありません。
しかし、「お金が無いからない」という言葉をそのまま真に受ける必要はありません。法律上の正しい手続きを踏むことで、相手の財産を強制的に差し押さえて回収できる可能性があります。本記事では、使ってしまって無いと言われた場合の法的対処法と、判決取得後の強制執行の手続きについて詳しく解説します。
親の預金を使い込んだきょうだいに「無い」と言われた時の対処法
親の預金からの無断引き出しは、他の相続人の相続財産を侵害する行為であり、不法行為または不当利得に該当します。
相手が「使ってしまったから無い」と主張したとしても、それは「現金がない」というだけの話であり、「財産が一切ない」という意味ではありません。法律的な手続きを進めることで、相手の給与や預貯金、不動産などの財産を調査し、強制的に回収する道が開けます。
ただし、そのためにはいきなり差し押さえを行うことはできず、まずは裁判所を通じて法的な権利(債務名義)を取得する必要があります。
話し合いが決裂したら民事裁判へ
遺産分割協議や任意の交渉で相手が使い込みを認めない、あるいは「無い」と言って返還に応じない場合、家庭裁判所の遺産分割調停ではなく、地方裁判所や簡易裁判所へ民事訴訟(返還請求訴訟)を提起します。
裁判では、以下のような証拠をもとに使い込みの事実を立証します。
- 被相続人(親)の口座の取引履歴(金融機関から取り寄せる)
- 親の認知症が進行していた場合は、その時期の診断書や介護記録
- 引き出し時の防犯カメラ映像や伝票(金融機関への文書送付嘱託等で取得)
裁判で勝訴、あるいは和解や調停が成立すると、「債務名義」と呼ばれる書類が手に入ります。これが、次のステップである強制執行を行うための必須アイテムとなります。
判決取得後の強制執行(差し押さえ)手続き
債務名義を取得した後は、相手が任意に支払わない限り、裁判所に対して強制執行(差し押さえ)の申し立てを行います。現金が手元になくても、以下のような財産をターゲットにすることができます。
給与の差し押さえ
相手が会社員や公務員として働いている場合、給与や賞与を差し押さえることが最も実用的です。
- 原則として給与の4分の1(手取りが比較的高額な場合は一定の制限あり)を、完済に至るまで毎月継続的に天引きして回収できます。
- 勤務先を特定している必要がありますが、裁判所の「第三者からの情報開示手続」を利用すれば、相手の勤務先を特定することが可能です。
不動産の差し押さえ
もし相手が自宅や土地などの不動産を所有していれば、その不動産を差し押さえて競売にかけ、売却代金から回収します。
- 2024年の相続登記義務化や、2026年4月にスタートする住所変更登記の義務化など、不動産登記に関する法整備が進む現在、所有不動産の特定や調査も行いやすくなっています。
- 実際に競売まで至らなくても、不動産を差し押さえられたことで心理的プレッシャーがかかり、慌てて別の方法で一括返還してくるケースも少なくありません。
独自の財産(預貯金・株式など)の差し押さえ
「親の預金は使い切った」と言っていても、きょうだい自身の預貯金口座や、保有している上場株式、生命保険の解約返戻金などがあれば、それらを差し押さえることができます。
- 財産隠しを防ぐため、金融機関に対して直接残高照会を行える法制度(第三者からの情報開示手続)を活用し、相手の隠れた資産を暴くことが可能です。
まとめ:泣き寝入りせずに弁護士へご相談を
「お金は使ってしまったから無い」というきょうだいの言葉を信じて泣き寝入りしてしまう方が非常に多いですが、法律上、使い込んだ側には全額を返還する義務があります。
現金が手元になくても、給与や不動産、独自に築いた財産を強制執行によって回収できるルートは残されています。しかし、裁判手続きや財産調査、強制執行の申し立ては専門的な知識と煩雑な手続きを伴います。
親の預金使い込みにお困りの場合は、一人で悩まず、相続問題や強制執行に強い弁護士へ早めにご相談ください。適切な証拠集めと法的手続きにより、正当な権利を取り戻すサポートを受けることができます。
📜 相続トラブル・遺産分割のお悩みは夕陽ヶ丘法律事務所へ
戸籍一括収集から不動産名義変更(登記)・遺産分割協議までワンストップ対応。
親族間の対立や複雑な手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
- 初回相談料: 0円(30分無料)
- 明確な料金体系: 事前に見積提示・着手金分割相談OK
- 名義変更・不動産登記: 担当弁護士が直接対応・税理士とも連携