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自筆証書遺言を「法務局」に預けられる制度とは?
検認不要のメリット

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

自筆証書遺言の保管制度とは?仕組みと利用するメリット

Q 自筆証書遺言を法務局の保管制度を利用して預けるメリットは何ですか?検認は不要になりますか?
A 【法務局保管のメリットと検認不要の効果】最大のメリットは、相続開始後に家庭裁判所での「検認」手続きが不要になることです。これにより、相続人全員の手間や精神的・時間的負担を大幅に軽減でき、遺産分割や不動産の名義変更登記へスムーズに移行できます。また、遺言書の紛失、盗難、破棄、相続人による隠匿や偽造・改ざんのリスクを完全に回避できるほか、保管申請時には法務官による形式上の不備チェックも受けられます。
【確実な遺言執行のための注意点】法務局の保管制度では遺言書の「内容(実質的な法適合性など)」の法律相談までは行われないため、形式不備で無効になるリスクや相続トラブルを防ぐためには、事前に弁護士などの専門家に内容を確認してもらうことが確実です。

故人が遺した自筆証書遺言を発見した際、これまでは相続人全員で開封・確認する前に、家庭裁判所で「検認」という手続きを経る必要がありました。しかし、2020年7月からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、この面倒な検認手続きが不要になります。

この制度は、自分で書いた遺言書を法務局(遺言書保管所)に預け、公的な機関で適切に管理してもらう仕組みです。従来は自宅の金庫や仏壇などに保管するのが一般的でしたが、紛失や発見されないリスク、相続人による隠匿や改ざんの危険性が常に付きまとっていました。

法務局での保管制度を利用することで、これらのトラブルを未然に防ぎ、遺言者の意思をより確実におおもとの形で実現させることが可能になります。

法務局で保管してもらうメリット

自筆証書遺言を自宅で管理するのではなく、法務局に預けることには、相続人や遺言者にとって非常に大きなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。

  • 遺言書の紛失や盗難、破棄のリスクを完全に回避できる
  • 相続人による遺言書の偽造や改ざん、隠匿を防ぐことができる
  • 死亡後に家庭裁判所の「検認」が不要になるため、手続きの負担が軽減される
  • 保管申請時に、法務官が形式上の不備をチェックしてくれる

特に、相続開始後の「検認」が不要になる点は、残された家族にとって大きな時間的・精神的負担の軽減につながります。従来であれば、遺言が見つかってから裁判所の期日を設定し、相続人全員に通知が行くまでに1〜2ヶ月程度の時間がかかっていました。この制度を利用していれば、法務局で「遺言書情報証明書」を取得するだけで、スムーズに相続手続きへ移行できます。

保管制度を利用するための手続きと必要費用

法務局の保管制度を利用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。誰でも気軽に利用できる反面、厳格なルールが定められています。

1. 手続きの対象となる遺言書

この制度を利用できるのは、自書(手書き)で作成された遺言書に限られます。財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピー添付が認められていますが、本文は必ず自書しなければなりません。また、封をしていない「オープンな状態」で持参する必要があります。

2. 申請場所の選び方

全国の遺言書保管所(法務局・地方法務局の本局や支局)で受け付けています。申請場所は、以下のいずれかを選ぶことができます。

  • 遺言者の住所地
  • 遺言者の所有する不動産の所在地
  • 遺言者の本籍地

3. 利用にかかる費用

保管申請にかかる手数料は、遺言書1通につき一律3,900円です。収入印紙で納付します。比較的安価な費用で公的な安全性を確保できるため、非常にコストパフォーマンスの高い制度と言えます。

最新の法改正と注意しておきたいポイント

遺言書を作成・保管するにあたり、近年の法改正や相続手続きの変化についても把握しておくことが大切です。特に2024年4月からは、相続登記の申請が義務化されるなど、不動産を巡るルールが厳格化しています。

法務局に遺言書を預けた場合でも、遺言者は生前にいつでもその閲覧や返還を請求することができます。また、内容を変更したい場合は、一度取り戻して新しく作成し直すか、追加の保管申請を行うことになります。

なお、法務局がチェックするのはあくまで「形式的な要件(署名や日付の記載など)」のみであり、遺言の内容が法的に有効かどうかや、相続トラブルを防げる内容になっているかまで保証してくれるわけではありません

財産の分け方や遺留分に配慮した内容になっているか不安な場合は、法的トラブルを防止するためにも、事前に弁護士などの専門家に相談して内容を確認してもらうことを強くおすすめします。正確な内容で遺言書を作成し、法務局の保管制度を正しく活用することで、大切な家族へ確実に想いを引き継ぎましょう。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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