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遺言執行者が仕事をしない!
怠慢な遺言執行者を解任・変更するための手続き

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

遺言書を作成してくれたのは良いものの、指定された遺言執行者が一向に動いてくれない、連絡がつかないといったトラブルは決して珍しくありません。遺言執行者がその役割を果たしてくれないと、相続手続き全体がストップしてしまいます。

本記事では、怠慢な遺言執行者に悩む相続人の皆様に向けて、遺言執行者を解任・変更するための具体的な法的手続きや、弁護士を活用するメリットについて詳しく解説します。

遺言執行者が仕事をしない場合の対処法

Q 遺言執行者が仕事をしない・連絡が取れない場合、相続人が勝手に解任や変更をすることはできますか?
A 【結論と手続きのルール】相続人の合意だけでは勝手に解任できません。家庭裁判所に対して「遺言執行者の解任申立て」を行い、職務怠慢や音信不通などの正当な事由が認められる必要があります。
【対策と弁護士活用のメリット】まずは内容証明郵便で催告を行い、応じない場合は客観的な証拠を集めて裁判所に申し立てます。手続きを円滑に進めるため、相続問題に強い弁護士への相談・依頼が有効です。

遺言執行者が選任されている場合、原則として相続人が勝手に遺産分割手続きを進めることはできません。そのため、遺言執行者が職務を放置していると、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどが滞ってしまいます。

まず行うべきことは、内容証明郵便などを活用して催告を行い、速やかに職務を行うよう促すことです。それでも対応がない場合や、音信不通になってしまった場合には、法的な手続きによる解任を検討する必要があります。

相続人が勝手に解任することはできない

注意しなければならないのは、遺言者の遺志によって選ばれた遺言執行者は、相続人の合意だけで勝手にクビにすることはできないという点です。

遺言執行者を変更・解任するためには、必ず家庭裁判所の手続きを経る必要があります。「仕事が遅いから」「自分たちの意見を聞いてくれないから」という感情的な理由だけでは解任が認められないケースもあるため、客観的な証拠を集めることが重要です。

家庭裁判所への「解任申立て」の要件と手順

遺言執行者を解任するためには、民法で定められた「正当な事由」が必要です。

解任の正当事由となる具体例

家庭裁判所に解任を申し立てる際は、遺言執行者が職務を放棄している客観的な事実を示す必要があります。主に以下のようなケースが「正当な事由」に該当します。

  • 長期間にわたって正当な理由なく遺言執行の職務を放置している(職務怠慢
  • 相続人からの連絡に一切応じず、行方不明である
  • 心身の故障により、遺言執行の任務を遂行できない
  • 遺言執行者として不適格な行為や、利益相反行為があった

遺言執行者が仕事をしない状況が「職務怠慢」にあたることを証明するためには、これまでの催告書や、メール・LINEの履歴、電話の記録などをしっかりと残しておくことが不可欠です。

解任申立ての手続きの流れ

家庭裁判所への解任申立ては、以下の流れで進行します。

  • 管轄の家庭裁判所へ「遺言執行者解任申立書」を提出する
  • 戸籍謄本や遺言書の写し、職務怠慢を証明する証拠書類を添付する
  • 裁判所による審尋(事情聴取)が行われる
  • 裁判所が解任の可否を判断する

申立てが認められれば、家庭裁判所によって新たな遺言執行者が選任されるか、あるいは既存の遺言執行者が解任されます。

放置するリスク:2024年相続登記義務化との関係

遺言執行者が仕事をしない状態を長期間放置することは、法的な観点からも大きなリスクを伴います。特に近年は法改正が進んでおり、迅速な対応が求められます。

相続登記の義務化に伴う注意点

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人に対し、相続登記の申請が法律上の義務となりました。不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければ、過料(行政罰)の対象となる可能性があります。

遺言によって不動産を取得することになっていても、その執行を担う遺言執行者が手続きを放置していると、期限内に登記ができず不利益を被る恐れがあります。

さらに、2026年4月からは住所変更登記の義務化も控え、不動産の権利関係をめぐる法規制は年々厳格化しています。遺言執行者の怠慢をそのままにせず、早めに法的措置をとることが自分の身を守るためにも重要です。

弁護士に依頼するメリット

遺言執行者の解任申立てや、その後の相続手続きをスムーズに進めたい場合は、相続問題に強い弁護士への依頼を強くおすすめします。

裁判所の手続きをスムーズに代行できる

家庭裁判所への解任申立てには、複雑な書類作成や法的な主張が求められます。慣れない手続きをご自身だけで進めようとすると、多くの時間と精神的負担がかかります。弁護士であれば、法的に有効な証拠の整理や申立書の作成を的確に代行してくれます。

新たな遺言執行者の選任や交渉を任せられる

解任申立てと同時に、あるいは解任を見据えて、信頼できる専門家を新たな遺言執行者候補として提案することも可能です。また、怠慢な遺言執行者本人に対して法的プレッシャーをかけ、任意に辞任するよう交渉してもらうことも期待できます。

遺言執行者の対応にお困りの方は、手遅れになる前に、まずは一度弁護士へご相談ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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