Q 休憩時間を与えなくてよいとする労基法規則32条はどのような場合に適用さるか。
2026/08/01 更新
労基法34条と休憩時間
(1)労働基準法34条1項は、労働時間が6時間を超えると45分の休憩時間を、労働時間が8時間を超えると1時間の休憩時間を与えなければならないと定めている。
(2)労働基準法規則32条1項は、一定の職種について、長距離にわたり継続して乗務する者には休憩時間を与えなくてよいとする。
(3)同法2項は、長距離にわたり継続して乗務する者に当らなくても、、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、停車時間、待合せ時間その他の時間の合計が労基法34条第1項に規定する休憩時間に相当するときは、休憩時間を与えないことができる、と規定している。
| 労働基準法第34条 1項 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 2項 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。 3項 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない |
| 労働基準法規則第32条 1項 使用者は、法別表第一第四号に掲げる事業又は郵便若しくは信書便の事業に使用される労働者のうち列車、気動車、電車、自動車、船舶又は航空機に乗務する機関手、運転手、操縦士、車掌、列車掛、荷扱手、列車手、給仕、暖冷房乗務員及び電源乗務員(以下単に「乗務員」という。)で長距離にわたり継続して乗務するもの並びに同表第十一号に掲げる事業に使用される労働者で屋内勤務者三十人未満の日本郵便株式会社の営業所(簡易郵便局法(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条に規定する郵便窓口業務を行うものに限る。)において郵便の業務に従事するものについては、法第三十四条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。 2項 使用者は、乗務員で前項の規定に該当しないものについては、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が法第三十四条第一項に規定する休憩時間に相当するときは、同条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。 |
東京地判令和7年4月22日判例タイムズ1545号167頁
1 事案
(1)航空機の客室乗務員が、労基法34条が規定する休憩時間が与えられていないと主張した。
(2)「労働基準法規則32条1項は、一定の職種について、長距離にわたり継続して乗務する者には休憩時間を与えなくてよい。」としている。また、「同法2項は、長距離にわたり継続して乗務する者に当らなくても、、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合に、(停車時間、待合せ時間を含めた)その他の時間の合計が労基法34条第1項に規定する休憩時間に相当するときは、休憩時間を与えないことができる。」としているから、同法の適用により休憩時間が与えなくってよいか争点となった。
2 裁判所の判断
(1)長距離にわたり継続して乗務する者とは 、 乗務時間が継続して6時間以上を要する移動を行う者を意味する。
本件の乗務員らは、複数回の離着率を行い、乗務を繰り返すものであり、各運航の乗務時間はいずれも6時間をこえないから、労基法規則32条1項にいう距離にわたり継続して乗務する者に当らない。
(2)本件の乗務員らは、空港設備の利用時間が決まっていることや、天候等の問題があるなかで、可能な限り定時運行を行う必要性があることを考えると、業務の性質上休憩時間を与えられない職種である。
そこで、労基法規則32条2項いう「その他の時間の合計が労基法34条第1項に規定する休憩時間に相当する」か問題となる。
ここで、「その他の時間」は、使用者の指揮監督下にあるが、実際に乗務していない時間と同程度に精神的肉体的に緊張度が低い時間を認められるものをいう。
(3)会社は、シフトの中に、クルーレスト(機体後方の座席等を利用して具体的な業務のない手待ち時間)を用意しているとして、これが労基法規則32条にいう「その他の時間」にあたると主張した。
しかし、裁判所は、クルーレストの確保や管理の仕組みが存在しないこと、客室業務員は航空機の保安業務の責務を負っていること等を考慮して、同時にはあたらないとした。




