著作権法と引用
2024/11/27 更新
このページを印刷著作権法と引用
(1)著作物について、引用することが認められています(著作権法32条)。
しかし、著作権法で許された「引用」の要件(内容)が問題となります。
(2)引用の要件としては、①引用として利用する側が著作物であること、②引用される側が著作物であることが明確にされていること、③両者の間に主従の関係があることが必要である(主従関係説)という考え方があります。
(3)これに対して、①公平な慣行と②正当な範囲であることが必要である(総合考慮説)とという考え方があります。
著作権法32条(引用) 1 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。 2 国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。 |
令和5年5月18日東京地裁
判例タイムズ1525号244頁
(1)プロが撮影した写真について、本件会社に総額460万円で利用許諾がされていた。利用許諾期間経過後に、本件会社は、新作デザインのタバコデザインを紹介するHPにて、写真を掲載していた。本件会社は、あくまで実績として掲載したにすぎず、これが引用にあたると主張した。
(2)総合考慮説を採用して、裁判所は、総額460万円という金額で利用許諾された商業的の価値の高い写真であることや、HPで無断複写措置がされずに7年間掲載されたために、インターネット上で相当広く複写等されていることを考慮して、引用にはあたらないとして、著作権侵害に基づく損害賠償請求を認めました。
令和5年5月18日東京地裁
判例タイムズ1525号244頁