判例(火災事故について、契約者の故意によって生じたもの推定されるとして、火災保険が支給されなかった事案)
2026/06/02 更新
このページを印刷保険事故と契約者の故意
(1)火災事件について、放火の疑いのあるケースではその直接的な原因が明確になることは少ない。
火災保険の請求が認められるには、契約者の故意によるものではないこと、「偶然の事故」であることが必要となります。
(2)最判平成16年12月13日民集58巻9号241頁では、火災保険金の支払を請求する者は、火災発生が偶然のものであることを主張、立証すべき責任を負わない。保険会社が、保険契約者等の故意・重過失の立証をしなければ 保険金支払の責任を免れることはできないと言われています。
これに対して、一般的な保険事故については、最判平成13年4月20日民集55 巻3号 682頁 においては、保険請求者が、「偶発的な事故」 の主張立証責任を負っているとされています。
(3)上記の判例は一見矛盾するように思われますが、火災保険の保険請求において、保険会社は「放火であるのか。その実 行者が誰かか。どのような方法で放火したのか。」まで具体的に立証する必要はなく、 被保険者の意思に基づいて保険事故が生じたと推定するのが合理的であると間接事実の証明がされれば足りるとされており、結局、保険会社としての立証のハードルは同程度なっていると言われています。
大阪高判令和7年1月29日判例タイムズ1543号64頁
以下の事情がある火災事故について、契約者の故意によって生じたもの推定されるとして、火災保険が支給されませんでした。
①火災の発生原因が、たばこ、ストーブ、電気におるなどの自然現象とする証拠がないこと、自動火災報知機のスイッチが切られていたことから、放火であると推定される。
②火災発生時に、現場付近に、契約者(の会社の代表者)がおり、そこにいた理由が明確にされていないこと
③契約者(保険請求者)は、1億5000万円の借金があり、銀行から4000万円の返済を迫られていたこと
大阪高判令和7年1月29日
判例タイムズ1543号64頁






