【ステップ1】問題社員に積極的に関わろう
2024/10/21 更新
事例
従業員Aは正社員であるが、お客様からのクレームが多く、仕事を任せられない。どうしたらよいのか。
会社としての問題
(1)会社の担当者からは、しっかり始末書を取っていると聞いていたが、実際に解雇した後に、始末書を取り寄せると、その書類が不十分であることが多い。
(2)「問題社員で困っている。」と聞ければ、その社員に対する反省文や指導書がそろっているか。指導監督の内容について、時系列表を用意してもらうことから確認が必要です。
個別指導
(1)社員としては、自分の行為は問題ないと勘違いしている場合や、まさか解雇まではされないと考えているケースが多い。
(2)問題の従業員に対しては、、しかるべきポジションの人物(中小企業では社長)が指導を行う必要があります。月に1回1時間程度、従業員の問題点を指摘し、当該従業員に対し改善を約束させることが必要です。
指導方法
(1)指導する際に感情的になったり、社員の人格を否定する発言をしたりしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、だからといって、放置するとますます問題が大きくなります。まずは、当該社員に会社としての評価を率直にそのまま伝えることが大切です。。
(2)社員の人格を否定する発言をしたとしても、直ちに会社が賠償義務を負うことはありません。民事上の責任を負うのは、①その行為が違法であり、かつ、②相手に損害が生じた場合です。
上司のパワハラが原因で、社員が精神疾患を患うような極端なケースは別にしてか、感情的な発言だけで責任が生じることはありません。
感情的になって、相手の人格を否定するような発言をした場合には、そのことは謝罪するのが大人のマナーです。
(3)問題社員を放置した場合、周りの社員のモチベーションが低下します。また、会社の指導監督が不足している場合には解雇が無効になります。
言ってはいけない
(1)「明日から来なくて良い。」「首にする。」等の発言は絶対に言ってはなりません。
(2)自宅待機を命じた場合には、会社には賃金の支払い義務が発生します
(3)解雇を正当化する事情がないのに、解雇をしても無効です。会社には賃金の支払い義務があります。
したがって、「自宅待機」や「解雇」と誤解される発言はしてはなりません。
チャンスを与える
あくまで、指導監督は社員のスキルを向上させることが目的です。やめさせることが目的ではありません。
社員が頑張った場合には、正当な評価をすることを忘れてはいけません。
指導監督の効果
(1)指導監督等を通じて、会社からの評価のフィードバックを受ければ、それだけで会社を辞めていく人もいます。
(2)会社での居心地が悪くなれば、社員が復職に固辞しなくなり、退職時の解決金が少額になる傾向にあります。
(3)解雇する場合には、会社が事前に十分な指導監督をしたことが必要です。したがって、指導監督は解雇のための事前準備という面もあります。