部下の不安によりそう(認知行動療法)
2024/09/01 更新
認知行動療法
認知行動療法の技術を使って部下の不安に寄り添いましょう。
回避行動
(1)ある問題があるとして、その行動は、①解決行動(嫌なことでも取り組んでみる)、②回避行動(理由を付けて逃げる。)、③ガマン行動(嫌なことでも耐える)に分かれます。
(2)プレゼンが苦手な人が、プレゼンを辞退する行動を回避行動といいます。ビジネスの場では、回避行動が続けば仕事に支障をきたすことが出てきます。
①部下の異常行動を感知する。
精神的に不安が増えると、以下のような行動が見られます。
行動量が減る。ミスが増える。遅刻が増える。 (不合理な理由で)、仕事を断る。 (完璧主義に陥って)完璧にできない仕事(不安な仕事)を断る。 人の指示を無視して、自分のやり方に拘る。 |
②回避行動が発生していることについて、指摘する。
(1)例えば、「〇〇さんは、毎回、プレゼンの仕事を断っています。このまま仕事を拒否し続ければ、経験を積めません。この点を問題が深刻になるだけになりませんか。」と説明しましょう。
(2)例えば、「やり直しを命じられて、「問題ない。」との回答でした。しかし、先ほど述べた点について、合理的な説明ができていません。やり直しを命じられて嫌な気持ちは分かりますが、ここでフィードバックを受け入れて、仕事をやり直すべきではないでしょうか。そうしなければ経験を積むことはでみません。」と説明しましょう。
③部下の気持ちのうち、共感できる部分をオウム返しする。
(1)次に部下の話を聞いて、何が不安なのかを理解し、上司の言葉でオウム返ししましょう。
(2)「なるほど、〇〇さんは、最近、休みがちとなっており、仕事を滞らせていることに責任感を感じておられるのですね。仕事の締め切りを気にしているのですね。毎回、プレゼンの仕事を断っています。このまま仕事を拒否し続ければ、経験を積めません。この点を問題が深刻になるだけだ。」と説明しましょう。
④部下の考えのうち、「極端な考え、思い込み」を指摘し、視野を広げる。
(1)本人の思い込みを指摘します。そして、それに対して、客観的な意見を述べます。。
(2)「〇〇さんは、△△と思っているのですね。」「でも、全部スケジュールどおりに終わる人はいませんよ。」「考え方を変えてみませんか。」
「仕事は完全に完成させてから、提出する。」 「引き受けた仕事は、期限内に全部やらないといけない。」 「今、休みをとったら、業務成績が悪くなる。」 |
⑤目標を設定する
(1)手元に届きそうな簡単な目標(解決行動(嫌なことでも取り組んでみる))を設定しましょう。
(2)「書類を1週間で作る。」ではなく、「3日以内にお客さんに電話する。」「お客さんからヒアリングしたら3日以内に書類を作る。」と細かくわけて目標設定をしましょう。日付を短く、仕事の難易度を分けて、細かく目標設定をしましょう。
(3)その目標が達成できれば、どんなプラスが生じるかを一緒に考えましょう。
「書類作成について細かくチェックする体制を作れれば、方向性の変更について早期にチェックできます。そうなれば、一から作り直しをする必要がなくなり。お互いにストレスが減るはずです。」と、お互いのメリットを話し合えるはずです。
SMART 目標管理はSMARTに設定せよ、といわれています。 S Specific(具体的である。) (1)目標は具体的である。 (2)「お客様の満足」は具体的ではありません。これに対して、「お客様がレジに並ぶ時間を1分以内にせよ。」は、具体的です。 M Measurable(測定可能である) (1)目標測定は、簡易かつリアルタイムに取得できることが必要です。 (2)お客様がレジに並ぶ時間を、ストップウェッチで計測するのは難しいです。例えば、会員カードを導入していれば、来店数や、訪問回数を容易に測定することができます。 A Achievable(達成可能である) (1)達成可能だとしても、妥協した数字では意味がありません。「できる目標」ではなく、ニッチな分野でトップを取る等の「勝てる目標」が望ましいです。 (2)達成する確率は、70%程度を目指してはどうでしょうか。 R Relevant(関連性がある) 目標は、回避行動からの断絶に繋がるものであることが必要です。 T TimeLy(期限が定まっている。) 目標については、いつまでに何を達成するのか期限が定まっていることが必要です。 |
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年4月号90頁
玉井仁 ほか「マンガでやさしくわかる認知行動療法」