判例(LPガスの事業者は、新築の住宅に無償で配管等を設置し、10年以内にガス供給契約が途中解除された場合には、設置代金から経過年数を控除した金額の支払いを求める契約をしていたが、消費者契約法9条1号の「消費契約の解除に伴う損害賠償の予定」に該当し、平均的な損害が認められないから、代金の支払いを求める条項は無効である。)
2026/08/28 更新
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LPガスの事業者は、新築の住宅に無償で配管等を設置し、10年以内にガス供給契約が途中解除された場合には、設置代金から経過年数を控除した金額の支払いを求める契約をしていた。
住宅の購入者がLPガスの契約を解除して別のガス会社とのLPガスの契約をした。
LPガスの事業者は、住宅購入者に対し、設置代金を請求した。
最判令和7年12月23日判例タイムズ1546号68頁
LPガスの事業者は、新築の住宅に無償で配管等を設置し、10年以内にガス供給契約が途中解除された場合には、設置代金から経過年数を控除した金額の支払いを求める契約をしていたが、消費者契約法9条1号の「消費契約の解除に伴う損害賠償の予定」に該当し、平均的な損害が認められないから、代金の支払いを求める条項は無効である。
解説:消費者契約法9条1号
消費者契約法9条1号は、消費契約の解除に伴う損害賠償の予定がある場合に、そこに定められた額が「平均的な損害」の額を超える場合に、その超過部分が無効になると定めています。
平均的な損害とは、実際に生じた損害に拘らずに、規範的な判断(裁判所がある当事者の公平を考慮して判例の積み上げて考え方を確立している)がされています。
本件では、10年以降にガス代が下げられていたわけでないことが重視されています。途中解除の違約金については、10年で少しずつ減っていく仕組みとなっていましたが、逆に10年以降にガス代が下げられる仕組みとなっていませんでした。違約金の趣旨が設置代金の回収であれば、10年で設置費用を回収したとして、ガス代等を下げる仕組みが必要という理屈です。
また、LPガスは携帯電話の契約のように、多数の消費者と同種の契約を継続的に締結していき、顧客を拡大させる契約であるから、個別の顧客に対する設備投資について顧客全体から回収する設計をしている可能性があるから、個別の顧客の解約によって損害が発生するのか、疑問がある。これらの事情を考慮して、平均的な損害が認められないから、代金の支払いを求める条項は無効である、との判断がされました。(最判令和7年12月23日判例タイムズ1546号68頁)
- 消費者契約法
- 9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)
1項
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
。




