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遺言の記録

2024/02/14 更新

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自筆証書遺言の記録

(1)自筆証書遺言については、証拠能力が低いと言われます。これを防ぐ方法があります。

(2)自筆証書遺言については以下の反論がありえます。

 遺言が偽造である。(本人が書いたのか)

 遺言能力がなかった。(本人が、判断能力がある状態で書いたのか。)

 「そもそも遺言を紛失する。」というリスクもあります。

(3)公正証書遺言の場合には、公証人という第三者がチェックしているということで、遺言の効力そのものが否定されることはほとんどありません。

 しかし、公正証書遺言の場合であっても、遺言を書く様子を録画しておけば、納得して紛争を減らす効果を期待できます。

遺言の記録

 遺言の風景を録画する上で大切なことは以下のとおりです。

①日付 

 いつ、遺言を書いたのか、明確にする必要があります。

日付の例 

専門家A

 「◯◯さん、本日は、何日ですか。」

遺言者B

 「◯◯」です。

②自己紹介

 「録画者が誰なのか。」「遺言を書く人が誰なのか。」を明確にしておきましょう。

 身分証には、住民票の記載あるはずです。

 できれば、身分証を引用しつつ、住所、名前を確認しましょう。

自己紹介の例 

専門家A

 「◯◯さん、本日は、身分証として運転免許を用意してくれしたよね。」

専門家A

 「運転免許上の住所を読み上げて頂けますか。」

専門家A

 「お名前を教えてもらえますか。」

遺言者B

 「◯◯」です。

解説

 身分証で本人確認をしたことを、音声だけで証明できるようにします。

 名前、生年月日、住所等、本人確認で必要なことを聞きましょう。

専門家A

 「私の自己紹介をします。私の名前は◯◯です。職業は弁護士です。」

専門家A

 「弁護士としての身分証をお見せします。」

 「身分書を見て下さい。私の電話番号は〇〇と記載されていますね。私の住所は〇〇と記載されていますね。」

解説

 これによって、身分証で本人確認をしたことを、音声だけで証明できるようにします。

 誰が、録画したかは大切なことです。名前、住所、電話番号を説明しましょう。

③前提事実の確認

(1)本日、何の話をするのか、経緯・前提について確認しましょう。

(2)仮に、裁判になって裁判官が録音を聞く場面を想像して下さい。前提を知らなければ話が分かりません。

 事情を知らない第三者がいると想像して、話をするようにしましょう。

前提事実の確認の例 

専門家A

 「本日は、遺言者のBさんが「遺言を書きたい」ということで、弁護士である私の事務所に来てもらった、ということでよいですか。」

遺言者B

 「はい。」

専門家A

 「どうして、遺言を書こうと思ったのですか。」

遺言者B

 「それは。。。。」

④雑談(判断能力)

(1)雑談(判断能力)を記録するのに、雑談は有益です。

(2)「どのような交通機関を使って来たのか。」「最近の気になることは何なのか。」「暑い、寒い」でも質問をしてみましょう。

雑談の例

専門家A

 「本日は、遺言者のBさんは、どのような交通機関を使って、こられましたか。」

遺言者B

 「地下鉄です。」

専門家A

 「乗られた駅はどこですか。」

遺言者B

 「◯駅です。」

専門家A

 「降りられた駅はどこですか。」

遺言者B

 「◯駅です。」

専門家A

 「何分ぐらい電車に乗りましたか。」

遺言者B

 「◯分ぐらいです。」

専門家A

 「遺言を確認は遺言能力が必要です。」

 「失礼かもしれませんが、専門家(立会人)として、遺言者のBさんがテキパキ答える能力があることを記録するために質問させて頂ました。」

解説

(1)経験上は、雑談のようなテキパキと答えれる質問の方が、録音(声)だけで、判断能力を判断しやすいです。

(2)「◯◯条の遺言を書かれた意味は何ですか。」という遺言についての質問の場合、回答者は考えながら回答します。そうなった場合には、「考えながら話しているのか」それとも、「「言え」と言われたことを思い出しているのか」を、録音(声)だけでは、判断しにくいです。

④遺言者の意思

 本人の意思で、遺言を書いたのかを確認することが必要です。

遺言者の意思の確認の例

専門家A

 「これは、遺言者Bさんの遺言です。ここに書いてある字は、全て遺言者Bさんが全て自筆で書かれたのでしょうか。」

遺言者B

 「はい。」

専門家A

 「第◯条は、△△と書かれています。これは、どういう意味でしょうか。」

遺言者B

 「◯◯という意味と理解しています。」

専門家A

 「なぜ、このような文言を作ったのでしょうか。」

遺言者B

 「◯◯」

ダメな質問例

専門家A

 「これは、遺言者Bさんの遺言です。ここに書いてある字は、全て遺言者Bさんが全て自筆で書かれたのでしょうか。」

遺言者B

 「はい。」

専門家A

 「第◯条は、△△と書かれています。これは、遺言者Bさんの意思で書かれたものですね。」

遺言者B

 「はい。」

専門家A

 「確認ですが、遺言者Bさんは、第◯条を書くにあたって、誰かに「このように書け。」とは言わされていないですよね。」

遺言者B

 「はい。」

解説

(1)具体的に、遺言者Bさんに、Bさんの言葉で説明してもらわければ、何も分かりません。

(2)質問は、「なぜ、◯条を書いたのか。」「◯条の意味はどういう意味なのか、法律用語を使わわずに説明して下さい。」等の質問をしましょう。

質問の台本

(1)的確な質問をするには、コツがいります。

(2)慣れないうちは、質問の台本を用意したほうがよいでしょう。

録音するときの機材

(1)テープよりもICレコーダーが便利です。

(2)スマホで録音することは止めましょう。
 「スマホで録音したのです。」とスマホを持ってくる方もおりますが、スマホを長時間預かることはできません。
 その場合には、 ICレコーダー を貸し出して、後日、スマホで再生してICレコーダー で録音してもらい、後日持ってきてもらいます。

(3)ICレコーダーと言っても、全ての機種がパソコンに接続して録音データを吸い出せるとは限りません。
 音声データをパソコンに吸い出せるタイプを選んでください。

 データを簡単に出せないタイプのICレコーダーをお持ちの方や、そもそもデータの取り出しを依頼されるお客様もおりますが、データの紛失、消去してしまうリスクがあるため、弊所では、データ以外でのお預かりをお断りしています。

データの保存

(1)録音データは、遺言の写真と、一緒に保管しましょう。

(2)遺言を①どこで、②誰が保管しているかも記載しましょう。

 遺言を誰が保管しているか、10年も経てば、忘れてしまいます。

(3)これらのデータを信頼できる人(数人)に渡すのは、情報の紛失の防止の観点では有益です。

(4)相続人に事前に知らせて、相続人の事前の納得を得る方法もあります。」

自筆証書遺言書保管制度

(1)自筆証書遺言を法務局に預かってもらう制度もあります。

 https://www.moj.go.jp/MINJI/01.html

 https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/content/001321184.pdf

(2)なお、自筆証書遺言書保管制度を使う場合のサンプルです。自筆証書遺言書保管制度を利用しない場合には、余白等は気にしないでよいです。

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