Q どのような場合に、著作権法上の氏名表示権を侵害したことになりますか。
2026/08/01 更新
このページを印刷著作権法上の氏名表示権
(1)著作権者は、著作物について著作権者としての氏名を表示する、もしくは、氏名を表示しない権利を有する(著作権法19条)。
(2)著作物について、著作権者の氏名の記載がない場合には、それが著作者が氏名を表示しないことを選択したものと推察されるときには、著作者としての氏名表示を省略しても氏名表示権の侵害にならない(著作権19条)。
(3)著作物について、著作物者の氏名の記載がある場合には、これを削除したり、見えない形で省略して著作物を利用することは、氏名表示権の侵害となる。
| 著作権法19条 氏名表示権 1項 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。 2項 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。 3項 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。 4項 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。 一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。 二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物の著作者名の表示を省略することとなるとき。 三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。 |
最判令和2年7月21日民集74巻4号1407号、判例タイムズ1479号18頁
(1)SNSに投稿された画像には著作権者の氏名が表示されていたが、この記事がリツイートされたときには、画像がトリミングされた形で、新しい記事に表示される。その記事をクリックすれば、元の記事が表示されて、その表示によって著作権者の氏名が表示される。もっとも、その記事をクリックしなければ、著作権者の氏名は表示されたい。
(2)上記の仕様にて、画像をリツイートすることは、作権法の氏名表示権の侵害にあたる(著作権19条)。
大阪地判令和7年8月21日判例タイムズ1545号242頁
(1)SNSのアカウントで投稿されてる写真については、著作者氏名を表示せずに投稿されるのが通常です。この写真(著作物)については、著作者の氏名の記載がないため、この写真を無断で利用した場合に氏名表示権の侵害にとなるか、問題となります。
(2)判例としては、写真を投稿した人物はSNSで投稿している以上は、自分が撮影したと分かってもらっていると考えているから、わざわざ写真に著作権者名を表示していないだけで、著作者氏名を表示しないことを選択したものと推察されないために、第三者が無断で写真を利用して、著作者としての氏名表示を省略した場合には、著作権法の氏名表示権の侵害にあたる(著作権19条)。




