Q FRAND宣言とは何か。
2026/08/31 更新
このページを印刷FRAND宣言
(1)標準規格等に関する特許(SEP)は、標準必須特許(SEP)と呼ばれます。FRAND宣言は、標準必須特許(SEP)を有する権利者が合理的な条件であれば特許を利用してよいという宣言です。
(2)特許実施者(特許を利用する者)は、FRAND宣言を信じて、当該特許を利用した商品開発が可能となります。
(3)FRAND宣言がされていても、合理的な使用料に合意できなければ、特許権者は特許実施者(特許を利用する者)に対し実施料相当額の損害賠償請求ができます。
FRAND宣言での実施料の算定
(1)特許法102条3項によって、特許権者は特許実施者(特許を利用する者)に対し実施料相当額の損害賠償請求ができます。
特許法102条3項は「侵害者の譲渡数量」×「単位あたりの特許発明に際に受け取るべき金額額」を損害額とします。
(2)標準必須特許(SEP)のFRAND条件におけるライセンス料算定において、蓄積ロイヤリティの考え方を用いて算定することが国際的な裁判例や実務でも広く採用されている。
(3)1つの標準規格(5GやWi-Fiなど)には数千〜数万件のSEPが存在するため、個々の特許権者が提示するライセンス料率をそのまま合計すると、製品価格を超えるような「ロイヤリティの積み上がり(Royalty Stacking)」が発生する。
このため、蓄積ロイヤリティでは、以下のように算定を行う。
| ①規格全体の「上限ロイヤリティ率(総蓄積ロイヤリティ率)」の設定 対象となる標準規格全体(例:5G規格全体)として、製品価格(または最小売上可能単位)に対して許容される「ロイヤリティ上限の合計値(例:5%〜10%など)」を設定する。標準的な実施料や、市場での一般的なライセンス料率などを参考に決められます。 ②対象特許権者の「寄与度(占有率)」の算出 規格に含まれるすべての真の必須特許(Essential Patents)の総数に対し、当該特許権者が保有する必須特許の割合(シェア)を算出する。 単純に数で割る場合には、「当該権利者のSEP件数 ÷ 規格全体の全SEP件数」で計算する。 技術的寄与で調整する場合には、 特許の価値や規格への技術的貢献度に応じて重み付けを調整する。 (標準必須特許(SEP)の個別の価値を算定することは難しいとして、単純に数で割るのも合理的である。) |
FRAND宣言と差し止め請求
(1)FRAND宣言をしておきながら、実施料の合意ができていないことを理由に差し止め請求することは権利濫用になるだろう(判例タイムズ1546号205頁)。
(1)FRAND宣言がされている特許について、国際的な実施料の算定方法を不当に拒否するような交渉をする場合には、差し止め請求が認められてよいだろう(判例タイムズ1546号207頁)。
東京地裁令和7年4月10日判例タイムズ1546号205頁
(1)FRAND宣言がされている標準必須特許(SEP)の実施料相当額の算定について、蓄積ロイヤリティの考え方を用いて相当額が算定された。
(2)標準必須特許(SEP)の個別の価値を算定することは難しいとして、①規格全体の「上限ロイヤリティ率(総蓄積ロイヤリティ率)」の設定し、②そのうち、「当該権利者のSEP件数 ÷ 規格全体の全SEP件数」で計算する方法で、個別の製品ごとの実施料を算定する方法を採用した。




