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遺言が無効になった後、過去に行われた不動産名義変更登記を抹消する手続き

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

遺言によって不動産の名義を変更した後に、その遺言自体が無効であると判明した場合、名義を変更されたまま放置しておくことはできません。間違った登記を正し、本来の相続関係に戻すための手続きが必要になります。

本記事では、遺言が無効になったケースにおける、過去に行われた不動産の名義変更登記を抹消するための法的な手続きと、その後の流れについて分かりやすく解説します。

遺言無効確認訴訟などで遺言が無効となった場合の登記対応

Q 遺言が無効になった場合、過去に完了した不動産の名義変更登記はどのように直せばよいですか?
A 判決等で遺言が無効となった場合、すでに実行された所有権移転登記をそのままにしておくことはできません。通常は関係者全員で協力して「所有権移転登記の抹消登記」または「真正な登記事項の回復を原因とする所有権移転登記」を申請します。

遺言書に基づいて不動産の相続登記(所有権移転登記)を完了させた後、他の相続人から「遺言書作成時には被相続人に認知症の症状があり、遺言能力がなかった」などの理由で訴訟が提起され、最終的に遺言が無効であるという判決が確定することがあります。

このような場合、登記上の所有者名義を元の状態に戻さなければ、不動産を売却したり、次の遺産分割協議を進めたりすることができません。登記を正常化させるためには、法律上の正しい手続きを踏む必要があります。

登記を戻すための主な2つの方法

無効な遺言に基づく登記を解消し、本来の状態に戻すための登記手続きには、主に以下の2つの方法があります。

  • 所有権移転登記の抹消登記
  • 真正な登記事項の回復を原因とする所有権移転登記

実務上は、登記上の利害関係人の状況や、当事者間の合意の有無によってどちらの方法を選択すべきかが異なります。特に、遺言による名義人が単独で抹消手続きに協力してくれない場合などには、法的なアプローチを慎重に検討しなければなりません。

裁判の判決に基づく抹消登記と「真正な登記事項の回復」

遺言が無効であることが裁判で確定した場合、その判決書を執行力のある公文書として利用することができます。

判決に基づく所有権移転登記の抹消

遺言無効確認の訴えに勝訴した場合、その確定判決の正本を用いて、単独で登記の抹消申請を行うことが可能になるケースがあります

通常、登記の抹消は、登記名義人と不利益を受ける人が共同で申請(共同申請)する必要がありますが、勝訴判決を得ている場合は例外的に単独申請が認められることがあります。ただし、判決の主文の書き方や訴訟の請求内容によっては、そのままでは登記ができないこともあるため、専門的な法的判断が不可欠です。

真正な登記事項の回復による名義変更

「所有権移転登記の抹消」ではなく、「真正な登記事項の回復」を原因とする所有権移転登記が選択されることも多くあります。

  • 登記の履歴を複雑にせず、現在の正しい所有者へ直接名義を戻したい場合
  • 中間に絡む権利関係の整理をスムーズに行いたい場合

この手続きも、当事者間の協力が得られない場合は裁判上の請求や和解が必要になることがあり、事案に応じた適切な法的措置が求められます。

登記抹消後の「遺産分割再協議」と法改正への注意点

不動産の名義を元に戻しただけでは、相続問題の解決にはなりません。無効になった遺言に代わる、新たな財産分けの話し合いが必要になります。

改めて行う遺産分割協議

遺言が無効となった以上、対象となった不動産は共同相続人全員の共有財産に戻ります。そのため、相続人全員で話し合いを行い、誰がその不動産を取得するのかを決定し直す「遺産分割再協議」を行う必要があります。

再協議がまとまったら、その合意内容に基づいて改めて適式な相続登記を申請します。

近年の法改正に伴う重要ポイント

不動産の名義変更やその後の手続きを進めるにあたっては、近年の法改正を正確に把握しておく必要があります。

  • 相続登記の義務化:相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行うことが法律で義務付けられています。遺言無効の裁判等で期間が経過している場合でも、判決確定後から3年以内の申請が必要です。
  • 住所変更登記の義務化:2026年4月からは、住所変更登記も義務化されます。相続人自身が引っ越し等をした場合、速やかな登記申請が求められます。
  • 所有不動産記録証明制度の活用:被相続人が所有していた不動産の全容を把握するため、この新しい制度を活用して漏れなく調査することが重要です。

まとめ:複雑な登記手続きは専門家への相談を

遺言が無効になった後の不動産名義の抹消や再登記は、通常の相続登記とは異なり、裁判実務や高度な不動産登記法に関する知識が必要となります。

誤った手続きを進めてしまうと、余計な時間と費用がかかるだけでなく、他の相続人との間で新たな紛争に発展する恐れもあります。確実かつスムーズに手続きを完了させるためにも、相続問題や不動産登記に精通した弁護士や司法書士などの専門家へ早期に相談することを強くおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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