相続の手続きを進める中で、亡くなった方の不動産の登記簿を見たところ、現在の住所と登記されている住所が異なっていたというケースは少なくありません。また、相続登記の前提として、自分の住所が変わっている場合にも手続きが必要です。
そこで今回は、ご自身で「登記名義人住所変更登記」を行う方法について、必要な費用や書類、申請書の書き方を分かりやすく解説します。
登記名義人住所変更登記とは?自分で行うメリット
不動産の登記簿に記載されている所有者の住所や氏名が変わった場合、そのままでは相続登記などの次の手続きを進めることができません。そのため、現在の情報に書き換える「登記名義人住所変更登記」を行う必要があります。
司法書士などの専門家に依頼することも可能ですが、ご自身で行えば報酬費用を節約できるという大きなメリットがあります。2024年の相続登記義務化に伴い、住所変更登記についても2026年4月までに義務化(正当な理由なく怠った場合は過料の対象)されることが決定しているため、速やかに手続きを行いましょう。
登記名義人住所変更登記にかかる費用
自分で手続きを行う場合、主な費用は登録免許税となります。
- 不動産1個につき1,000円(※土地と建物がある場合は、それぞれ1個と数えるため計2,000円になります)
その他、後述する住民票などの証明書を取得するための手数料(数百円程度)と、法務局へ行くための交通費、または郵送費がかかるのみです。
申請に必要な書類の集め方
住所変更登記を自分で行うためには、事前にいくつかの書類を収集・作成する必要があります。不備があると何度も法務局に通うことになるため、しっかりと確認しておきましょう。
住民票(住所のつながりを証明するもの)
住所が1回だけ変わった場合は「住民票」を1通取得すれば足りますが、引っ越しを繰り返している場合は注意が必要です。
- 旧住所から新住所へ1回の移転であれば住民票で証明できます。
- 2回以上住所が変わっている場合は、住所のつながりを証明するために「戸籍の附票」や、住民票の除票(または消除された住民票)が必要になります。
※市区町村の窓口で請求する際は、「本籍地および筆頭者が記載されたもの」かつ「住所の履歴(前住所など)が記載されたもの」を指定して取得してください。
登記申請書
法務局のホームページから「登記申請書(登記名義人住所変更)」のひな形をダウンロードし、必要事項を記入して作成します。
【実践】法務局での申請書の書き方と記入例
登記申請書は、A4サイズの用紙に印刷して使用します。手書きでもパソコン入力でも構いません。主な記載項目とポイントは以下の通りです。
- 登記の目的:「登記名義人住所変更」と記載します。
- 申請人:現在の氏名と住所を正確に記入し、認印を押します(実印ではなく認印でも可ですが、シャチハタは不可です)。
- 添付情報:「住所証明情報(住民票など)」と記載します。代理人が申請する場合は委任状も必要ですが、本人申請であれば不要です。
- 不動産の表示:登記簿謄本(登記事項証明書)を見ながら、土地や建物の「所在地」、「地番(家屋番号)」、「地目(種類)」、「床面積」などを正確に転記します。
- 登録免許税:不動産の個数×1,000円分の金額を計算して記載します。収入印紙を貼り付ける台紙も併せて用意します。
収入印紙の貼り方
法務局内の売買スペースなどで「収入印紙」を購入し、申請書の指定された余白(または別紙の収入印紙貼付用紙)に貼り付けます。この際、印紙には絶対に消印(割印)をしないように注意してください(法務局側で消印作業を行うためです)。
法務局の窓口への提出方法と注意点
すべての書類と申請書が準備できたら、いよいよ法務局への提出です。
管轄の法務局を確認する
不動産の所在地を管轄する法務局の窓口へ持参するか、郵送で提出します。遠方の不動産であっても、管轄の法務局が異なれば、それぞれの法務局に書類を提出する必要がありますので注意しましょう。なお、郵送で提出する場合は、書留郵便など追跡可能な方法を利用するのが確実です。
窓口での相談も活用しよう
法務局の窓口では、事前に書類の軽微な不備などをチェックしてもらえる場合があります(※完全な代行作成や法律相談は受け付けていません)。不安な方は、事前に電話で予約の上、窓口で相談しながら進めると安心です。
住所変更登記は、書類の収集と書き方のルールさえ守れば、ご自身でも十分に対応可能です。費用を抑えてスムーズに手続きを完了させるために、ぜひチャレンジしてみてください。
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