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不動産の評価額にはいくつかある?
公示価格、固定資産税評価額、路線価の違い

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

相続で不動産を取得したとき、多くの方が直面するのが「不動産の価格はどれが正しいのか?」という疑問です。実は、日本の不動産には「1つの物件に対して4つの異なる価格(一物四価)」が存在します。

相続税の申告、遺産分割協議、そして不動産の登記手続きなど、目的に応じて使い分けるべき価格が異なるため注意が必要です。それぞれの特徴や違いを正しく理解し、適切な手続きを進めましょう。

不動産の評価額(公示価格・固定資産税評価額・路線価)の違いと使い分けとは?

Q 不動産の評価額にはなぜ複数の種類があるのですか?
A 目的に応じて公正な価格を算出する必要があるためです。相続税の計算には「路線価」、固定資産税や相続登記の登録免許税には「固定資産税評価額」、遺産分割の目安や売買には「公示価格(時価)」というように使い分けられています。

相続手続きを進める上で、どの場面でどの評価額を使用するかを間違うと、税務署からの追徴課税や、相続人同士の遺産分割トラブルに発展するリスクがあります。まずはそれぞれの価格の基本を押さえましょう。

1. 公示価格(時価の目安)とは?

国土交通省が毎年3月に発表する、全国の標準的な土地の1平方メートルあたりの価格です。市場における実際の売買価格(時価)の目安となります。

  • 主な用途: 遺産分割における不動産の価値評価、一般的な不動産売買の参考価格
  • 特徴: 実際の取引価格に最も近い客観的な指標ですが、そのまま税金の計算に使われることはありません。遺産分割で「不動産を公平に分けたい」という場合や、不動産鑑定士に時価評価を依頼する際の基準となります。

2. 固定資産税評価額(固定資産)とは?

市区町村が固定資産税や都市計画税を課税するために定める価格です。3年に一度見直しが行われます。

  • 主な用途: 固定資産税・都市計画税の算定、相続登記(不動産の名義変更)の登録免許税の算定
  • 特徴: 一般的に、公示価格の約7割程度に設定されています。毎年春頃に届く「固定資産税の課税明細書」や、市区町村で取得できる「固定資産評価証明書」で確認することができます。相続登記の申請時には、この評価額に一定の税率をかけて登録免許税を算出します。

3. 相続税路線価(路線価)とは?

国税庁が毎年7月に発表する、道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格です。

  • 主な用途: 相続税および贈与税の算定
  • 特徴: 一般的に、公示価格の約8割程度に設定されています。「国税庁の路線価図サイト」等で誰でも簡単に確認することができます。土地の形状(奥行きがある、間口が狭いなど)による補正率を掛け合わせることで、相続税申告における正確な土地の評価額を算出します。

相続手続きにおける評価額の正しい使い分け

相続が発生した際、不動産に関連する手続きは多岐にわたります。それぞれの場面でどの価格を使うのか、明確に区別しておくことが重要です。

遺産分割協議では「時価(公示価格や不動産鑑定)」を使用する

相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」では、固定資産税評価額や路線価ではなく、現在の「時価(実際の価値)」を基準にするのが原則です。

もし、固定資産税評価額(時価の約7割)をそのまま時価と勘違いして遺産分割の基準にしてしまうと、後々「実際の売却価格と大きく違う不公平な分け方だった」として、相続人間で大きなトラブルに発展する原因になります。正確な時価を知りたい場合は、公示価格を参考にしたり、不動産鑑定士や不動産業者による査定を活用しましょう。

相続税の申告では「路線価」を使用する

亡くなった方(被相続人)の財産総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になります。このとき、土地の評価額として使用するのが「路線価」です(路線価が定められていない地域の場合は、倍率方式という固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる方式を用います)。

建物については、路線価のような別個の評価基準はないため、一律で「固定資産税評価額」をそのまま相続税評価額として使用します。

相続登記では「固定資産税評価額」を使用する

法務局で不動産の名義変更(相続登記)を行う際、必要となる登録免許税(税金)の額を計算するために「固定資産税評価額」を使用します。

なお、2024年4月からは相続登記の申請が法律上の義務となりました(正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象となる可能性があります)。また、2026年4月からは住所変更登記も義務化されるなど、不動産をめぐる法制度は厳格化しています。登記手続きの際は、必ず市区町村の役所で最新の「固定資産評価証明書」を取得して計算を行いましょう。


不動産評価に迷ったら専門家への相談を推奨する理由

不動産の評価額は、計算する人の専門知識や土地の状況(形状、接道状況、利用区分など)の捉え方によって金額が変動することが多々あります。

特に相続税の申告における土地の評価は、税理士の専門的判断によって評価額を大幅に引き下げられる(節税できる)ケースが少なくありません。逆に、自己流で誤った評価をして申告してしまうと、税務調査で過少申告を指摘され、延滞税や加算税といったペナルティを課されるリスクもあります。

遺産分割の公平な分け方に悩む場合や、複雑な形状の土地を抱えている場合、また正確な相続税評価を行いたい場合は、不動産に強い弁護士や税理士などの専門家に早めにご相談ください。適切な評価に基づいた、円滑で安心できる相続手続きを実現しましょう。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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