故人が生前にクレジットカードの分割払いやリボ払いの残高を残して亡くなった場合、残された家族はどのように対処すればよいのでしょうか。借金と聞くと不安になる方も多いですが、正しい知識を持って冷静に対処することが重要です。
ここでは、クレジットカードの残債に対する法的知識と、相続放棄か遺産からの清算かを判断するための基準をわかりやすく解説します。
クレジットカードの分割・リボ残高は相続の対象になる?
クレジットカードの利用残高は、故人が遺した負債として相続人に引き継がれます。これは一括払いの残高だけでなく、分割払いやリボ払いの残高も同様です。カード会社から突然の請求書が届いて驚かれる方も少なくありませんが、放置すると遅延損害金が発生するため、速やかな対応が求められます。
なお、負債は法定相続分に応じて各相続人に分割されますが、これはあくまで外部への対抗要件であり、遺産分割協議によって誰が支払うかを決めることも可能です。
連帯保証人や家族カードの扱いに注意
注意しなければならないのが、家族カードの利用分と連帯保証人としての責任です。
家族カードで利用した分の請求は、原則として本会員である故人の口座から引き落とされる仕組みになっていたため、これも故人の債務となります。また、故人が何らかの借入れの際に連帯保証人になっていた場合、その保証債務も相続の対象に含まれます。
相続放棄か遺産からの清算かを選ぶ判断基準
故人のクレジットカードの残高やその他の財産状況を把握した上で、相続人が取るべき選択肢は主に以下の2つに分かれます。
1. 遺産からの清算(単純承認)を選ぶケース
預貯金や不動産などのプラスの財産が、クレジットカードの残高や借金などのマイナスの財産を大きく上回っている場合です。
この場合は「単純承認」を選択し、故人の遺産(預貯金など)からクレジットカードの残高を一括あるいは交渉の上で清算することになります。不動産が含まれている場合は、2024年4月から開始された相続登記の義務化(3年以内の申請が必要)にも留意し、速やかに名義変更と債務の整理を行いましょう。
2. 相続放棄を選ぶケース
クレジットカードの分割・リボ残高やその他の借金が、預貯金などのプラスの財産よりも明らかに多い場合、あるいは財産状況が不明で多額の負債の可能性がある場合です。
相続放棄をすれば、最初から相続人でなかったことになり、クレジットカードの残高を支払う義務を免れることができます。
- 相続放棄の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。
- この期間内に家庭裁判所へ申述の手続きを行う必要があります。
相続放棄を検討する際の実務的な注意点
クレジットカードの残高清算や相続放棄を検討するにあたり、故人の正確な債務状況を把握することが不可欠です。近年では、個人信用情報機関(CICやJICCなど)に開示請求を行うことで、故人が利用していたクレジットカードの枚数やリボ・分割の残高を正確に調べることができます。
また、相続放棄をするうえで絶対に避けるべきなのが「単純承認とみなされる行為」です。
- 故人の預貯金からクレジットカードの残高を勝手に引き出して支払った
- 故人の遺品である高級時計や形見の品を持ち帰って処分した
これらを行ってしまうと、法律上「財産を処分した」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる恐れがあります。クレジットカードの支払いや遺産の処分を行う前に、必ず専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
故人のクレジットカードの分割・リボ残高は、放置するとトラブルに発展するリスクがあります。まずは故人の財産と負債の全体像を正確に把握し、プラスの財産の方が多い場合は「遺産からの清算」、マイナスの財産が多い場合や判断がつかない場合は「相続放棄」を視野に入れて、3か月の熟慮期間内に適切な手続きを進めましょう。
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