人事評価のフィードバック
2024/10/21 更新
人事評価とフィードバックの目的
①部下の成長
部下の課題を伝えて、部下の能力を向上させる。複数の課題を伝えてもダメ出しになってしまう。2つ、3つの課題を出して、これが上手くいったら褒める方がよい。
②職務適正の評価
部下の職業の適性を判定し、不適切な場合には交代等を検討する。このための成績評価であれば、「見習い中である」「一部の業務であれば任せることができる。」「安心して仕事を任せれる。」の3段階で足りる。
③業績についての認識の齟齬をなくす
部下が自分の仕事について問題ないと誤解しているケースが多々ある。注意してもこれを聞かない人物に対しては、誰も注意しなくなる。このため、本人が問題ないと誤解することになる。
逆に、部下が自分の仕事(自分自身)を認めてもらっているのか不安に感じていることがある。これを適切にフィードバックする必要がある。
④給与額の決定
部下の報酬について適正に決定をする必要がある。しかし、人事評価と給与の決定を切り離す考え方もあります。人事部の仕事は◯円と市場価格(その仕事をする人を外部から採用した場合に、いくらの給与を提示するか)で決めればよいという考え方もあります(ジョブ型雇用)。市場価格に反した報酬では、人材はいずれ流出してしまいます。
人事評価で、部下をびっくりさせない
(1)人事評価で、部下をびっくりさせてはいけません。
(2)正式な人事評価が1年に1度であっても、上司と部下との間で、「部下に対する仕事の評価」について齟齬が有るのはふさわしくない。
(3)問題がある場合にはs、問題があることを伝えて、部下に努力をさせなくてはならない。
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」264頁
部下に課題を伝える
(1)部下の成長を期待して、部下に課題を伝えましょう。
(2)課題を伝えるということはネガティブなフィードフィードバックをすることになるので、以下のように先にポジティブな評価と、感謝を伝えましょう。
①チームにおいける「Aさんの強み」(強み)
②チームとして、Aさんに感謝していること(感謝)
③Aさんに期待している役割(期待)
④③のために、チームとしてAさんに期待する、Aさんの課題(課題)
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」271頁
欠点の指摘の仕方
(1)ネガティブなフィードバックについて否定したくなるものです。したがって、欠点の指摘には根拠が必要です。
(2)欠点を指摘する際には、データや、具体的な部下の行動を指摘する必要があります。
✕ Aさんは、指示待ちです。
◯ Aさんには、指示待ちなところ(指示がないと、重要な仕事を怠ってしまうところ)があります。◯月◯日に、プロジェクトでの予定をB社担当者に連絡する必要がありました。私も具体的に指示していなかったところですが、Aさんは、2年目の社員であり、当然、その必要性に気づけました。しかし、これをうっかり忘れて、連絡を怠りました。
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」282頁
バイアスを意識する
(1)バイアス(思い込み)は避けれませんが、これを理解することで減らすことはできます。
(2)印象的な出来事や、特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまうことがあります(ハロー効果)。データ等を使ってこれを避けましょう。
(3)最近の出来事の印象に引きづられて、全体の評価をしてしまうことがあります(新近効果)。評価期間全体についてデータ等を集めてこれを避けましょう。
(4)部下を評価するさいに、自分と比べて評価をするために必要以上に評価が厳しく(低く)なる傾向があります(厳格化傾向)。
これもデータを使って、他の社員と比べることで避けることができます。
(5)人事評価なで、真ん中の「普通」という中央値の評価を多くしてしまう傾向があります。(中心化傾向)。
これもデータを使って、他の社員と比べることで避けることができます
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」279頁
評価の方法
(1) 基本的には、以下の3つの評価で十分です。
「見習い中である。」「一部の業務であれば任せることができる。」「安心して仕事を任せれる。」
(2)成績不振者については、職業の適性を判定し、不適切な場合には交代等を検討します。
元の職種に戻る権利を保障する。
(1) 優秀なプレーヤーがマネージャーに昇格したが、マネージャーとして優秀な成績残せないことがあります。
(2) そのときには、元の職種に戻る権利を保障するべきです。でなければ、その人は会社を去ることになり優秀な人材を失うことになります。
参考
アンドリュー・S・グローブ 著、 小林薫 訳 「HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント」 314頁
数値による評価はしない
(1)成績については 「5段階の3です。」という表記もありえます。
(2)しかし、「期待通りの仕事をしてくれています。ありがとう。」とフィードバックする方がより相手に伝わります。
参考
ハーバードビジネスレビュー2023年3月号57頁
フィードバックのタイミング
(1)「(良い)行動」を直ちに「ほめる」ことで、部下は成長します。フィードバックが遅くなれば効果は薄くなります。
(2)例えば、「太ると分かっているのに、ケーキを食べてしまう」という行動があります。おいしいケーキを食べて楽しい時間という「直近のフィードバック」(プラス時間)と、太るという「遠いフィードバック」(マイナスの結果)を比べたときに、人は「直近のフィードバック」に支配されるからです。
(3)仕事の区切りことにフィードバックをしてもよいでしょう。
参考
ハーバードビジネスレビュー2023年3月号58頁
フィードバック、報酬を工夫する。
(1) 金銭以外のフィードバックを増やしましょう。
(2) 「(良い)行動」を直ちに「ほめる」のもよいでしょう。
(3) 「メンバーが何かを成し遂げたらこれを表彰する。」という仕組みがあってもよいでしょう。
(4)チーム目標や、個人目標を達せしたら小さなプレゼントをおくってもよいでしょう。
参考
ピョートル・フェリークス・グジバ 「世界最高のチーム グーグル流『最少の人数』で『最大の成果』を生み出す方法 」229頁以下
定期的なフィードバック
(1)人は、自己評価と客観的な評価が一致しないものです。
(2)定期的に、他人から見た「よい点」「悪い点」を、本人が分かっている状態にしてあげるべきです。
(3)定期考査のタイミングで、部下が、上司の評価に驚くことが無いように、継続的になフィードバックが必要です。
面談の準備をする
(1)人事評価を伝える面談をする前にはしっかりと準備をしましょう。
(2)話をする内容の目次ぐらいは作りましょう。
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」272頁
面談後をチェックする
(1)面談のチェックリストを作って、自分の面談をチェックしましょう。
(2)伝えなたい内容を伝えれたのか。
(3)部下の話を聞く時間を作れたのか。
(3)伝えたいことについて、部下が理解をしてくれたのか。
参考
ローレン・B・ベルカー (著)「マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識」283頁