【金融危機】1997年 アジア通貨危機
2024/12/17 更新
アジア通貨危機
(1)通貨危機は、ある国の通貨の対外的価値が急激に下落し、その結果経済活動に深刻な影響が及ぶことです。
(2)1997年7月より、タイの通貨(パーツ)が急落し、同様の問題がアジア各国で生じました。
通貨危機が生じた事情
(1)米国の金利や株価があがっていました。
(2)タイの財政赤字やインフレが問題となっていました。
(3)固定相場制度が導入されていた。
固定相場制のメリット
(1)自国の通貨が弱いと、国内ではインフレがおきます。
(2)固定相場制では、ある外国の通貨と自国の通貨の価値を保証する制度です。
(3)為替リスクを減らすことができ、より多くの貿易を促進することができます。
外国の通貨と自国通貨が連動するので、外国通貨時刻のインフレを抑えることができます。
参考
永易淳ほか「有斐閣ストゥディア はじめて学ぶ国際金融論」166頁以下
通貨危機が生じた事情
(1)当時、米国の金利や株価があがっていました。このため、海外投資機は、その国の通貨を売ってドルに交換する動きが強くなりました。
(2)財政赤字やインフレが問題となっていました。このために、その国の通貨を売って外貨に交換しようとする動きが強くなりました。海外投資家が、経済的な混乱が生じる国から、資金を引き上げるのは当然です。
(3)固定相場制度を導入していました。実質的には、自国通貨が固定されたレートよりも低い(弱い)状態であったために、割高な基準で外貨(ドル)と交換することになったために、タイでは保管している外貨(ドル)が減少し続けていました。
(4)ヘッジファンド等の機関投資家が、これに目をつけて、タイの通貨(パーツ)の大量の空売りをしました。タイ中央銀行は固定相場制度を維持するために、バーツ買いの為替介入を実施しました。しかし、外貨準備資金のドルが枯渇し、変動相場制(管理フロート制)への移行を強いられた結果、バーツは対ドル相場で急落しました。
通貨危機の影響
(1)海外投資家が、経済的な混乱が生じる国から、資金を引き上げました。
(2)インフレ、金融不安(不良債権問題)、金利の上昇、企業の業績悪化、失業が発生し、景気は大きく後退しました。
(3)アジア各国でも、同様の問題があり、他のアジア各国でも同じ問題が生じました。
通貨危機での教訓
(1)通貨危機を経験して、外貨(ドル)の外貨準備資金の積立の必要性が再認識されました。
(2)近隣諸国で、資金の支援を行う仕組みが導入されました。
参考
宮崎成人「教養としての金融危機 」156頁以下