判例(人身傷害保険に加入している被害者が事故により死亡した場合、人身傷害保険の保険金は相続財産となる。)
2026/06/01 更新
このページを印刷最判令和7年10月30日、民集79巻7号2794頁、判例タイムズ1543号16頁
(1)人身傷害保険に加入している被害者が事故により死亡した場合、人身傷害保険の保険金は相続財産となる。
(2)近親者慰謝料を請求できる者がいても、相続人が請求できる人身傷害保険の金額に変化はない。
解説
1 人身傷害保険の保険金の請求権
(1)被害者の相続人の一部が相続放棄をした場合に、人身傷害保険として請求できる金額はどうなるでしょうか。
(2)人身傷害保険の保険金は、受取人が原始的に取得する(原始的取得説)と考えれば、相続放棄があったとしても、金額は増えません。
(3)しかし、人身傷害保険に加入している被害者が事故した場合、人身傷害保険の保険金は相続財産です(承継取得説)。
(4)したがって、相続人は、もともとの人身傷害保険の金額に、相続放棄後の法定相続分をかけた金額を行使できます。
2 近親者慰謝料の調整
(1)近親者慰謝料と、人身傷害保険とはどういう関係となるか。
(2)近親者慰謝料を請求できる人がいる場合であっても、相続人が請求できる人身傷害保険の金額に変化がありません。
(3)例えば「人身障害保険は、近親者の慰謝料と、被害者の損害賠償請求の賠償を含む」と考えるとすれば、近親者慰謝料の請求者が、相続放棄をした場合に、人身傷害保険はその分減額するという、考え方もあります。
(4)しかし、人身傷害保険に加入している被害者が事故により死亡した場合、人身傷害保険の保険金は相続財産です。
(5)したがって、近親者慰謝料を請求できる者がいても、相続人が請求できる人身傷害保険の金額に変化はない。
参考
判例タイムズ1543号16頁以下






