判例(ハンドスコアは、著作権法6条の「著作物」に該当しないが、これを無断でコピーしてウェブサイトで無料で掲載し広告収入を得て、かつこれによって権利者の売上が減少していた場合には、模倣者は不行為責任を負う。)

2026/10/12 更新

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著作権法6条の「著作物」に該当しない場合

(1)著作権法6条の「著作物」に該当しない情報について、他人が無断で使用した場合であっても、法律に保護に値する権利を侵害した場合には損害賠償義務を負うとされています。(最判平成23年12月8日民集65巻9号3275頁)

(2)労力をかけて成果物を作成したものを、権利者に無断で活用して利益を得て、かつ、これによって、権利者にも経済的損失を与えた場合には、法律上保護された利益(営業上の利益)を侵害した場合にあたります。

最判令和8年10月9日

1 著作権の問題
(1)バンドスコアは、バンドの全パートの譜面が一冊にまとめられたものである。ギター、ベース、ドラム、キーボード、ボーカルなどの全ての楽譜を一つにまとめたものである。
 バンドスコアは、原曲を再現するために作成するものであり、作者の個性を創造的に表現したものではなく、「著作物」にはあたらない。

2 事案
(1)事業者が著作権者から許可を得て、原曲から労力をかけてハンドスコアを作成して、これを販売していた。
(2)模倣会社は、事業者のハンドスコアを購入してこれをコピーしてウェブサイトで無料で掲載し広告収入を得ていた。
 なお、模倣の程度は完全なコピーではなかったが、全体を細部までコピーしたというものであった。
(3)模倣会社がウェブサイトで公開していた平成24年から平成29年までの間、事業者の売上は平成23年に比して大幅に減少し、同サイトが閉鎖された平成30年に売上が大幅に増加した。

3 裁判所の判断

 著作権法6条の「著作物」に該当しない情報について、他人が無断で使用した場合であっても、労力をかけて成果物を作成したものを、権利者に無断で活用して利益を得て、かつ、これによって、権利者にも経済的損失を与えた場合には、法律上保護された利益(営業上の利益)を侵害したとして不行為責任を負う。

4 解説

 この判例は、「原告が労力をかけて成果物を作成し、被告がこれを無断で活用して利益を得て、かつ、これによって、原告にも経済的損失があることを重視した」と考えられます。

参考

判例タイムズ1534号105頁

本件の高裁の判決について詳しい解説が記載されています。

判例

 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-97135.pdf

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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