【金融危機】2009年 ギリシャ危機
2024/12/16 更新
ギリシャ危機
(1)ギリシャは、財政赤字がGDP比で5%程度とされていたが、実際は12.7%であったと公表し(更にその後13.6%に修正)。
(2)ギリシャ国債が下落した。これによって、ユーロ圏の国債も下落し、通貨ユーロが下落した。
共通通貨のメリットとデメリット
(1)欧州連合(EU)では、ユーロという共通通貨を導入していた。
(2)共通通貨のメリットとしては、通貨交換のコストを下げることや、為替レートのリスクを無くすことがあげられます。
(3)各国の経済状況は違います。しかし、本来であれば、各国ごとに適切な金融政策を取るべきですが、通貨と統一していると、それができません。これがデメリットです。
参考
永易淳ほか「有斐閣ストゥディア はじめて学ぶ国際金融論」198頁
最適通貨圏
(1)例えば、ある地域はインフレで、好景気だとします。別の地域はデフレで、不景気だとします。この場合には、別々の通貨が存在し、金融政策がとられることが望ましいといえます。
(2)共通通貨を導入するには、その国々は、①労働者の移動ができること、②価格や賃金について市場原理が鼻格子と、③好状地域での税収を不況地域に支出すること、④景気サイクルが似ていることなど、の条件が必要であるといわれています。
参考
宮崎成人「教養としての金融危機 」156頁以下
ギリシャ危機の影響
(1)まずは、ギリシャ国債の格付けがAマイナスから、BB+まで引き下げられました。
(2)ドイツ、フランス、イタリアの金融機関はギリシャ国債を保有しており、他のEU加盟国の国債価格も下落しました。
(3)海外投資家が、経済的な混乱が生じる国から、資金を引き上げるのは当然です。
(4)ユーロという共通通貨についての根本問題は解決されていません。したがって、株価で見た場合には、ユーロ圏の企業の株価は、ギリシャ危機を契機とした欧州債務問題に未だ、悩まされています。
参考
永易淳ほか「有斐閣ストゥディア はじめて学ぶ国際金融論」192頁以下
ギリシャ危機が生じた事情
(1)ギリシャの経済的な弱さ引き金でした。
(2)しかし、そもそもは、単一通貨を導入する経済的条件について明確にしないまま、単一通貨を導入したことが問題の原因です。
参考
永易淳ほか「有斐閣ストゥディア はじめて学ぶ国際金融論」186頁以下