プラットフォームの事業性のポイント
2024/09/17 更新
プラットフォーム(ビジネス)
プラットフォーム(ビジネス)は、ユーザーとユーザーの取引(何らかの価値の交換)を支援して、今までに無かった価値を提供するビジネスです。
プラットフォーム(ビジネス)の将来性
1)プラットフォーム(ビジネス)は、在庫を持たずにユーザーとユーザーの取引を支援します。プラットフォーム(ビジネス)は上手く行けば、無限の収益性をもっています。
(2)プラットフォーム(ビジネス)の将来性を考察するにあたっては、以下の観点が重要です。
①プラットフォームによって、新しい市場がどれだけ生まれるか。
(1)これまでは、既存の取引がそのプラットフォームで行われた場合に獲得可能な市場規模を前提に評価されることが多かった。
(2)しかし、プラットフォームによって、どれだけ新しい市場が生まれるか、の方が、プラットフォームの存在意義としてより重要です。
(3)例えば、エアビーアンドビーは、他人の家を借りる、という、新しいマーケットを生み出しました。
(4)アマゾンは、おすすめ(レコメンド)によって、新しい取引を生み出しました。
②少数の買い手や、売り手が独占していないか。
(1)少数の大規模な買い手や、売り手が存在する業種ではプラットフォームは上手くいきません。
(2)どちらか一方が独占的な地位をもっていれば、プラットフォームを通さずに、直接取り引きを始めてしまう可能性があるからです。
③買い手から見て、売り手の商品はどれだけ差別化されているか。
(1)例えば、ユーチューブの動画のような差別化された商品の方がネットワーク効果が高まります。売り手が増えて品揃えが豊富になることで理想的なマッチングが可能となります。
(2)タクシーはすぐに乗りたい。近くで直ぐに利用できる、という意味でウーバーの運転手は、人一人が差別化された運転手段です。
④プラットフォームはどのような付加価値を生み出すか。
(1)プラットフォームは、いろいろな商品の中から商品を発見すること、取引を簡潔にすること、という付加価値を生み出す。
(2)しかし、プラットフォームには、取引をより円滑かつ効率的に行える機能が必要です。
例えば、混雑する時間に値段を引き上げて混雑を解消するスマートプライシング機能を備え付ければ、売り手はこの利便性を手放せなくなります。
(3)逆に、発見を超える付加価値を生み出さなければ、買い手と売り手が手数料を支払わなくてすむように直接取り引きをするようになってしまいます。
⑤ネットワーク効果はローカルか、グローバルか。
(1)ある地域で限定された取引の成立を支援するプラットフォームは、買い手と売り手を集めて市場を構築するうえでは、望ましく映ります。
(2)しかし、ローカルなプラットフォームが新しい年に進出するたびにゼロから始まるプラットフームは成長速度に限界があります。
⑥プラットフォームのスイッチングがどれほど難しいか。
(1)同じ商品やサービスを利用するのに複数のプラットフォームを利用できるような場合には、ネットワーク効果での防御力は弱い、といえます。
(2)これに対して、評価とレビューを積み重ねて認知度を高め、買い手の需要を獲得する仕組みは売り手にとってスイッチングの障壁となります。
(3)例えば、差別化要素の少ないタクシーはレビュー等の評価を集める必要がなく、スイッチングの障壁は少ない、といえます。
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年10月号112頁