Q 不起訴の合意とは何ですか。
2026/08/29 更新
不起訴の合意
(1)不起訴の合意が有効であれば、訴訟要件を欠くことになり訴えは却下されます。
(2)訴訟外で、訴えの取下げの合意がされると、訴えの利益を欠く(最判昭和44年10月17日17日民集10号1825頁)とされている。同じく、不起訴の合意も私法上の合意であり、訴えの利益を欠くことで訴えは却下される、という効力を生じる。
1 判決の内容
訴訟外で、訴えの取下げの合意がされると、訴えの利益を欠くので、訴訟は却下される。
(参考 民事訴訟法判例百選(第6版)182頁)
不起訴の合意の有効性
(1)裁判を受ける権利は憲法上保証された権利です。これを放棄できるのかという疑問や、不起訴の合意が認められえば、裁判を受ける権利を失うために、より慎重に判断すべきという考え方もあります。
(2)合意書にて不起訴の合意をした(合意書に、「今後本件に関しては、異議の申立、訴訟等を一切しない。」との条項があった。)としても、その合意が公序良俗違反にあたるとして無効となることがある(最判令和6年7月11日判例タイムズ1526号67頁)とした判例があります。
不起訴の合意と実務上の取り扱い
(1)訴訟要件とは、本案判決をするために必要な要件です。 確かに、訴訟要件は、本案審理よりも先に審査すべきです。しかし、現在の手続では、管轄の審理を除いて、訴訟要件の審査を経てから本案の審理に入るという二段階構造は取られておりません。
(3)不起訴の合意については、その効力が争われれば、他の実体法上の主張の当否と同時並行で審理されます。
不起訴の合意を争う意味
(1)「甲は乙に対し一切の請求をしない。」「甲は乙に対し訴えの提起をしない。」等の記載では、不起訴の合意だと理解するのが通常です。
これに対して、「甲は乙に対し一切の請求を放棄する。」という記載があれば、実体法上の請求権の放棄(もしくは、清算の合意)だと理解されるでしょう。
(2)不起訴の合意が認められえば、裁判を受ける権利を失うために、より慎重に判断すべきという考え方もあります。しかし、不起訴の合意や実体法上の請求権の放棄(もしくは、清算の合意)が争われれば、当事者の真摯な合意の有無が争点となり、そのハードルは変わらない、と考えるのが自然でしょう。
(3)確かに、不起訴の合意が認められれば請求は却下されます。
しかし、同合意が認められるかは、尋問等を経て決せされるので、「清算合意を主張して、実体法上、原告の請求は消滅した、したがって、請求は棄却される。」と主張するのと、訴訟戦略上はほとんど変わりません。




