民事訴訟

Q 契約書において、「合意管轄」はどのように記載されていますか。

2026/09/14 更新

契約書における「合意管轄」の条項

(1)民事訴訟法の定めによれば、原告は、①被告の住所地(4条1項)、②義務履行地(5条1号)などから、選んだ裁判所に訴えを提起できます。
(2)もっとも、当事者は、契約書等で事前に管轄の合意をしておくことが可能です。

専属的合意管轄

(1)紛争前に、契約書にて下記のような条項があり、管轄の合意をしておくこともできます。同合意が有効であれば、他の裁判所にて裁判することができないことになります。

(2)もっとも、同契約の有効性については力関係が大きな影響を与えます。会社と消費者の契約書にて、会社の住所地に限定されていたとしても、弱者保護の観点から同合意を争うことが考えられます。

第◯条 合意管轄
 甲及び乙は、本契約に関し紛争が生じたときは、××地方裁判所もしくは××簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

専属合意管轄を否定する方法

(1)契約書で締結された管轄の合意について、例えば、会社と消費者との合意であるなど、力関係上、会社の住所地に限定されていることが不当な場合に、どのような対処があり得るだろうか。

(2)一つは、「A裁判所を合意管轄とする。」という契約書上の合意管轄の文言について、「民事訴訟法が定める管轄に付加的にA裁判所への提訴も可能とする合意であるから、民事訴訟法が定める管轄の裁判所への提訴は否定されない。」と解釈する方向があります。

(3)もう一つは、合意管轄が専属合意管轄であるとしても、民事訴訟法17条を利用して、移送を申し立てることが考えられます。
 民事訴訟法17条所は、「当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地」を考慮して、移送を検討するとしている。これは、当事者及び証人の裁判所に出頭する労力や、裁判所等が、紛争解決のために現場に行く(検証する)可能性や、弁護士事務所の所在地、当事者の経済力が考慮して判断される。といわれています。(藤田広美「解析 民事訴訟 第2版」168頁、169頁、171頁)

民事訴訟法17条 遅滞を避ける等のための移送
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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