民事訴訟

Q 権利能力なき社団に、当事者適格が認められる条件を教えて下さい。

2026/08/08 更新

権利能力なき社団と当事者適格

 権利能力なき社団について、当事者適格が認められるのは、①構成員全員(この場合には、固有必要的共同訴訟となる。)②代表者、③団体の規約等で登記名義人とされた者である。

参考

 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 」197頁)

権利能力なき社団の当事者適格の法的性質

1 問題点
(1)権利能力なき社団の権利義務は構成員に総有的に帰属する。代表者が訴訟担当となる場合には、他人である構成員の権利義務について争うことになる。その判決の結果が構成員に及ぶ理由は何か。
(2)なお、当事者適格は、訴訟物たる権利義務の帰属主体に与えられるのが原則である。しかし、訴訟物たる権利義務の帰属主体に代わって、当事者適格が与えられる場合を訴訟担当という。

2 固有適格説
 会社に対する判決が会社の社員に及ぶのと同じく、権利能力なき社団に対する判決はその構成員に及ぶ、という考え方です。

3 訴訟担当説
(1)法人でない社団は、その構成員のために、訴訟担当として当事者適格を与えられた、という考え方である。(2)訴訟担当の判決の効力は、当事者である社団(115条1項1号)のみならず、その構成員にも及ぶ(115条1項2号)と説明する。
(3)訴訟担当説とすれば、法定訴訟担当なのか、任意的訴訟担当なのかも問題となります。民法の明文があるわけではないが、解釈上求められた法定訴訟担当という説や、組合と同じく任意的訴訟担当と考える説もあります。

参考
 長谷部由起子ほか「基礎演習民事訴訟法  第3版補訂版」7頁
 越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」 13頁

権利能力なき社団と登記請求権

(1)法人でない社団の財産について社団名義で登記することはできない。
(2)構成員全員の共同名義とするか、代表者の個人名義とするしかない。
(3)法人でない社団は、その構成員全員に総有的に帰属する不動産について、代表者名義へに登記せよとの訴訟をする原告適格が認められる(最判平成26年2月27日民集68巻2号192頁)。

参考

 岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻」196頁

民事訴訟法28条 (原則)
 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。

民事訴訟法29条(法人でない社団等の当事者能力)
 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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