Q 大企業が取引先と交渉するさいに、担当者に権限を与えるべきか。
2026/07/21 更新
大企業が取引先と交渉するさいに、担当者に権限を与えるべきか。
(1)取引先とのと交渉の際に担当者に権限を与えると、以下の問題が生じます。
(2)担当者が営業出身者であれば、営業部の利益を優先するかもしれません。製造担当者であれば、 納期を優先するかもしれません。担当者と企業全体の利益を一致させることが難しいという問題です(エージェンシー問題)。
(3)技術的安全性、価格、納期、技術の目新しさ等の、各部署によって求めるか価値が多すぎると、これを交渉担当者が適切にコントールすることが難しくなります。
例えば、最低ラインを各部署から提示させても、それだけで優先順位を決めることができません。
下手すると、最低ラインがさらに下げられることを予想して、各部署がラインを上げてしまうともはや、公証ラインの意味をなさないこともあります。
交渉すべきか
(1)まずは、本気で交渉すべきか、を検討します。
(2)交渉によってどれだけ差があるのか、企業に与える影響を測定して、交渉すべきかを検討します。
(3)交渉するための様々な調整コストを考えれば、交渉しないことのメリットもあります。
(4)本気で交渉すべきではないと判断されれば、市場基準での交渉をスタートさせるべきです。
担当者から、交渉権限をなくす
(1)担当者に交渉権限を与えない方法があります。交渉の場では、企業での協議した内容を説明し、かつ、取引相手の説明を聞くだけに徹し、回答は全て持ち帰る、という手法です。
(2)実際の取引でも、交渉担当者が独断で判断できる部分は限られています。したがって、事前にこのように取り決めて取引相手に伝えることも有効です。
(3)この方法の場合、各部署から最低ライン等の事前交渉が不要となります。
交渉の場を情報交換とする
(1)交渉の場を情報交換の場と考えます。①優先順位や、②絶対に譲れない点や、③交渉が決裂した場合にどうする予定なのかを、お互いに情報交換をして持ち帰ります。
(2)企業の各担当者からの質問を集約して、取引相手に伝えて、その情報を社内に持ち帰ります。
(3)取引相手は、質問に答えてくれるのか、回答を拒否してくるのかも、契約を成立させるかの考慮要素として検討します。
(4)取引相手との交渉と同時並行で、別の取引相手を探す活動を行い、その情報も必要な限りで、取引相手に伝えます。
交渉ダッシュボード
(1)調達過程について、交渉ダッシュボートを作成することが有益です。
(2)交渉ダッシュボードでは、交渉過程を記録すると共に、各部署のメンバーが必要最低限の意見を述べれるようにしておき、各部署の承諾を記録することができるようにしておきます。
(3)社内の調達を俯瞰できる仕組みを作ることで、価格差を調整したり、一社に調達を任せっきりなっていることのリスク分散等を見える化することができます。
(4)価格交渉の少人数の専門家チームを編成することも有効化かもしれません。各取引について俯瞰的に見ることで得れた知見をフィードバックする等の効果も期待でます。
参考
ハーバード・ビジネス・レビュー2026年8月号92頁






