民事訴訟

判例(控訴審において訴えの交換的併合を行った。そのために取り下げられた旧請求について、新たな訴えの利益が認められる場合には再訴することができる。)

2026/08/23 更新

最判昭和52年7月19日民集31巻4号693頁

  「民訴法237条2項(現262条2項)は、終局判決を得た後に訴えを取り下げることにより裁判を徒労に帰せしめたことに対する制裁的趣旨の規定であり、同一紛争をむし返して訴訟制度をもてあそぶような不当な事態の生起床を防止する目的に出たものにほかならず」「たとえ新訴が旧訴とその訴訟物を同じくする場合であっても、再訴の提起を正当ならしめる新たな利益又は必要性が存するときは、同条項の規定は適用がないものと解するのが、相当である。」

解説

1 訴えの変更
(1)訴訟係属中に、訴訟物を変更する場合には、訴えの変更の手続が必要です(143条)。
(2)訴えの変更は、従来の旧請求に新請求を追加する追加的変更と、従来の旧請求に代えて新請求を提示する交換的変更があります。
(3)交換的併合は、旧請求の取下げと新請求の訴えです。旧請求の撤回には訴えの取下げの要件を満たす必要があります。
2 訴えの取下げと再訴の禁止
(1)控訴審において訴えの交換的併合を行った。そのために取り下げられた旧請求について、民事訴訟法262条2項により、後日、再訴訟することが許されなくなる、のが原則である。
(2)しかし、旧請求について新たな訴えの利益が生じた場合にはどうなるだろうか。
3 判決の意義
(1)まず、民事訴訟法262条の2項の趣旨を同一紛争をむし返しの防止である。
(2)したがって、控訴審において訴えの交換的併合を行った。そのために取り下げられた旧請求について、新たな訴えの利益が認められる場合には再訴することができる、としました。

民事訴訟法262条(訴えの取下げの効果)
1項 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
2項 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。

参考
 民事訴訟法判例百選(第6版)246頁

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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