Q 将来給付の訴えの「訴えの利益」について教えて下さい。
2026/08/13 更新
将来給付の訴え
(1)将来給付の訴えは、口頭弁論終結時に、期限が到来していない給付の訴えである。
(2)将来の給付の訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、訴えの利益が認められる(民事訴訟法135条)。
(3)具体的には、以下のような場合には、訴えの利益が認めらられる。
| 第135条 (将来の給付の訴え) 将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。 |
紛争の存在
債務者が債務の存在または態様を争っているときには、将来の給付の訴えが認められる。
継続的または反復的給付の一部不履行
(1)継続的または反復的給付について、債務者がその一部を不履行にしているときには、将来の給付の訴えが認められる。
(2)例えば、総額600万円について毎月10万円×60ヶ月で弁済するという合意があるが、既に、3回分の支払いが滞っているときなどである。
損害が甚大
履行が少しでも遅れると債務の本旨に従った履行にならない定期行為(民法542条1項4号)や履行遅滞による損害が重大なものとなる扶養料請求の場合には、将来の給付の訴えが認められる。
将来給付の訴えの具体例
将来給の訴え
損害が継続して発生することが予想される場合、毎回、訴えを提起することを原告に強いるのは酷である。しかし、将来給付の訴えを認めてしまうと、将来の事業が変更になると、逆に債務者側が金額が減少したと訴訟手続をすることになる。あくまで、原告が訴えを提起するのが原則であるとすれば、将来給付の訴えは損害の発生が安定的かつ継続的であることが明確である場合に限られよう。
継続的不法行為
(1)不動産が不法占有されている場合、その所有者は、占有者に対し、当該不動産の明渡しと共に、明渡時までの損害賠償 (賃料相当損害金)を請求することができる。この損害賠償請求のうち、口頭弁論終結日の翌日以降の分は将来請求である。
(2)かかる将来請求が認められる理由は、①同一態様の行為が将来も継続されることが予測されること、②請求権の成否及び額をあらかじめ一義的に明確に認定することができること、③請求権の消滅事由が予め明確になっているため請求異議などでの消滅事由の主張が容易であることである(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)。
無効な解雇後の賃料請求
(1)無効な解雇がされた場合に、①労働者の地位の確認請求と②賃金請求(民536条2項)が併合提起されたときは、②は①の認容判決の確定日までの請求が認められる。
(2)認容判決が確定すれば、その後は任意の賃金の支払がされるのが通常だからから、請求できるのは認容判決までである。
代償請求
本来の給付に代わる代償請求も、本来の債務の存在または態様が争われているから、将来給付の訴えが認められる例とされる。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻」117頁以下




