民事訴訟

判例(訴えの交換的併合は、旧請求の取下げと新請求の訴えである。旧請求の撤回には訴えの取下げの要件を満たす必要がある。また、控訴審で訴えの交換的併合がされた場合には、新請求については事実上第一審として裁判をするものであるから、控訴棄却とすべきと判断したときであっても、第一審と同じく新請求について判断する必要がある。)

2026/08/31 更新

最判昭和32年2月28日民集11巻2号374頁

 訴えの交換的併合によって定立された「求償債権は控訴審ではじめて主張されたものであつて第一審判決には何等の係りもない。原審が本件訴の変更を許すべきものとし、また求償債権に基づく新訴請求を認容すべしとの見解に到達したからとて、それは実質上初審としてなす裁判に外ならないのであるから第一審判決の当否、従つて本件控訴の理由の有無を解決するものではない。それ故原審は本件控訴を理由なきものとなすべきいわれはなく、単に新請求たる求償債権の存在を確定し「控訴人は被控訴人に対し金七一三、六二六円を支払わなければならない」旨の判決をなすべかりしものなのである。」
 「元来、請求の原因を変更するというのは、旧訴の繋属中原告が新たな権利関係を訴訟物とする新訴を追加的に併合提起することを指称するのであり、この場合原告はなお旧訴を維持し、新訴と併存的にその審判を求めることがあり、また旧訴の維持し難きことを自認し新訴のみの審判を求めんとすることがある。しかし、この後者の場合においても訴の変更そのものが許さるべきものであるというだけでは、これによつて当然に旧訴の訴訟繋属が消滅するものではない。けだし訴の変更の許否ということは旧訴の繋属中新訴を追加的に提起することが許されるか否かの問題であり、一旦繋属した旧訴の訴訟繋属が消滅するか否かの問題とは係りないところだからである。もし原告がその一方的意思に基づいて旧訴の訴訟繋属を消滅せしめんとするならば、法律の定めるところに従いその取下をなすか、或はその請求の抛棄をしなければならない。」

解説

(1)上記判決は、「訴えの交換的併合は、旧請求の取下げと新請求の訟えである。旧請求の撤回には訴えの取下げの要件を満たす必要がある。」こと、また、「控訴審で訴えの交換的併合がされた場合には、新請求については事実上第一審として裁判をするものであるから、控訴棄却とすべきと判断したときであっても、第一審と同じく新請求について判断する必要がある。」ことを述べたものである。
(2)上記は実務上確立した取り扱いであり、かつ通説である(民事訴訟法判例百選【第6版】66頁以下)。

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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