Q 企業は、性的少数派(LGBTQ)であるという情報をどのように管理すべきですか。
2026/08/21 更新
性的少数派であるという情報
(1)性的少数派(LGBTQ)である情報は、「要配慮個人情報」ではありません。
要配慮個人情報は、個人情報上の概念で、不当な差別や偏見が生じないよう特に取扱いに注意が必要な個人情報のことです(個人情報保護法2条3項)。
(2)もっとも、性的少数派であるという情報は、その重要性からして、「要配慮個人情報」に準じて扱われるべきです。
(3)本人の同意なく、性的少数派を第三者に漏らすことは違法です(アウティング)。
社内の管理体制
(1)性的少数派(LGBTQ)である情報は、社内でどこまで共有するかを設計する必要があります。
(2)以下のような段階に分けることができます。
(3)社内で管理体制を決めて、本人の同意を得ることが必要です。
| 【段階】 | 【具体的な社内の人間】 |
| レイヤー1 | 人事担当者のみが知る |
| レイヤー2 | 直属の上司のみがし知る。 |
| レイヤー3 | 所属部署のメンバーも知る。 |
| レイヤー4 | 全社員に通知する。 |
人事担当者の移動・本人の移動
(1)例えば、人事情報の共有者を決めても、人事担当者や本人の移動で共有する範囲を変更しなければなりません。
(2)共有する範囲が変更になった場合には、その都度、本人の同意を得ることが必要です。
アウンティングの研修
(1)性的少数派(LGBTQ)が働く職場では、社員全員が性的少数派(LGBTQ)についての知識を得ることが必要です。
(2)個人情報の取り扱いの原則や、アウンティング(性的少数派を第三者に漏らすこと)の違法性等を学んでもらう必要があります。
戸籍上の氏名と通称名の運用ルールの作成
(1)戸籍上の氏名と、通称名の運用ルールを決める必要があります。
(2)源泉徴収票は、戸籍上の明記を記載する必要があります。
(3)しかし、社員証、名刺、メールアドレス、給与明細など、社員名の表記について検討が必要です。
(4)これらには、人事システムの設定や、機能に関わる問題であり担当者との協力が必要です。
トイレや、更衣室
(1)戸籍上の男性が、性的自認としては女性の人が女性トイレを使ってよいか、という問題については、他の女性側の配慮も必要になります。
(2)戸籍上の男性について、女性トイレを使うのであれば、性同一性障害であるとの、医師の診断書を求める等が必要です。
(3)経産省トイレ事件(最判令和5年7月11日、判例タイムズ1516号51頁)では、社内で、性同一性障害であるが、戸籍とは別のトイレを使用することをの説明会を設けています。
説明会では、個人名を伏せて、必要性を説明していき、社内のアンケートをとって同意を得ることが必要です。
(4)この過程で、本人の同意を得ながら、必要な限り(例えば、社員名は言えませんが、社内に性同一性障害の方が所属していること)で社内に情報を共有することになるでしょう。
参考
ビジネスガイド2026年9月号94頁以下




