民事訴訟

Q 昭和40年度の旧司法試験の第1問の解答を教えて下さい。

2026/08/23 更新


第1 
1 問題
(1)被告が認めている貸金債権について提起した訴えに訴えの利益が認められるか。
(2)給付の訴え、もしくは、確認の訴えに分けて考えてみる。
2 訴えの利益
(1)訴えの利益とは、訴訟物たる権利関係、法律関係について本案件判決をすることの必要かつ適切であることをいう。
(2)訴えの利益は、無駄な訴訟を無くして、裁判所や被告の負担を減らす役割がある。
3 給付の訴え
(1)現在の給付の訴えは、給付を請求する地位にあるのに現に給付を受けていないと主張するものであるから訴えの利益が認められる。
(2)本件では、被告が貸金債権について認めている。しかし、給付の訴えには強制執行を認める執行力が付与される。したがって、被告が貸金債権を認めてるだけでは訴えの利益を欠くことはない。
4 確認の訴え
(1)貸金債権について確認訴えを提起できるか。
(2)確認の訴えは、ある権利関係、法律関係を確認する訴えである。
(3)確認の利益とは、ある権利関係、法律関係について本案件判決をすることが、原告の権利、法律関係に現存する不安危険を除去するために、必要かつ適切であることをいう。
5 方法選択の適否
 例えば、100万円を支払えという給付の訴えと、100万円の債権があることの確認の訴えを比べると、確認の訴えだけでは、紛争の解決にとって適切だといえない。
6 即時確定の利益
(1)被告が貸金債権を認めているのであれば、原告にはこれを確認することが必要だともいえない。
(2)以上より、被告が貸金債権を認めてる場合に、確認の訴えについては訴えの利益を欠く。

第2
 1 問題
  不起訴の合意がされた訴えは、訴訟要件を欠くのか。
 2 不起訴の合意 
(1)不起訴の合意が有効であれば、訴訟要件を欠くことになり訴えは却下される。
(2)判例は、訴訟外での訴えの取下げがされた訴えについては訴えの利益を欠くとしてしている。
(3)不起訴の合意についても、訴訟外での合意によって訴訟をしないことの意思表示であるとの共通点をもっており、訴訟要件を欠く理由として、同じく訴えの利益を欠くという説明が可能であろう。
 以上



つぎの訴えは、訴訟要件を欠いているか、いないか。

イ 被告が認めている貸金債権について提起した訴え

ロ 不起訴の合意があるにもかかわず提起した訴え

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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