民事訴訟

Q 昭和63度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/08/23 更新

第1
1 問題
 (1)甲は乙に対し所有権に基づく明渡し訴訟で第一審は勝訴した。
 (2)A土地とB土地と交換する和解契約の一環として、甲は控訴審で訴えを取り下げた。
 (3)しかし、B土地はC土地であったのであるから、訴えの取下げの無効を主張して、期日指定を申し立てることができるか。
2 訴えの取下げ
(1)判例は、訴えの取下は訴訟行為であるから、私法上の意思の瑕疵の規定は直ちに適用されない。
 刑事上罰すべき他人の行為により訴えの取下がなされた場合には、再審事由を定めた民事訴訟法338条1項5号の法意に照らし、その訴えの取下は無効となる、とする。
 (2)しかし、訴えの取下げは判決による訴訟の終了ではなく、当事者の意思による訴訟の終了である。訴えの取下げが認められると実体法の権利が行使できなくなる。当事者の意思に瑕疵がある場合にはそれを救済すべき事情は変わらない。
 したがって、訴訟上の和解と同じく、民法の意思表示の瑕疵がある場合には、訴えの取下げの無効を主張できる。
3 結論
(1)B土地はC土地であった。訴えの取下げの動機となった和解契約が錯誤により取り消されるのであるから、訴えの取下げも無効となる。
(2)訴えの取下げが無効になるのであるから、期日指定を申し立てるべきである。

第2 
 1 問題
 (1)甲は乙に対し所有権に基づく明渡し訴訟で第一審は勝訴した。
 (2)A土地とB土地と交換する和解契約の一環として、甲は控訴審で訴えを取り下げた。
 (3)しかし、B土地はC土地であったのであるから、原告は再度訴訟を提起できるか。
 (4)、期日指定を申し立てることができるか。
 2 控訴審後の訴えの取下げ  
 (1)控訴審後に訴えの取下げをした場合、再度の訴えはできないのが原則である(民事訴訟法262条2項)。しかし、民事訴訟法262条の2項の趣旨を同一紛争をむし返しの防止である。
(2)新たな訴えの利益が認められる場合には再訴することができる。
 3 あてはめ
(1)B土地はC土地であった。訴えの取下げの動機となった和解契約が錯誤により取り消されるのであるから、新たな訴えの利益がある。
(2)甲は再度、訴えを提起できる。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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