民事訴訟

Q 平成18年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/08/27 更新

1 問題
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づく代金支払い請求訴訟を提起した。
(2)上記訴訟の請求原因は、XとYの売買契約である。
(3)Yは、XとYの売買契約は成立したが、同契約は錯誤で取り消されるべきと主張する。このYの主張は、「XとYの売買契約」を認める点で裁判上の自白が成立するのか。
(4)その後、Yが、XとXZの売買契約を理由に、、「XとYの売買契約」を否定するのは、裁判上の自白の撤回にあたり許されないのではないか。
2 裁判上の自白
 (1)裁判上の自白の成立要件は、①相手方の主張と一致すること、②口頭弁論または弁論準備手続における主張であること、③事実の主張であること、④自己に不利益な主張であることである。
(2)なお、ここでいう③事実は主要事実に限られる。間接事実や補助事実まで、当事者の主張に拘束されると、裁判所が自由に事実を認定することができなくなるからである(自由心証主義)。
3 主要事実
(1)主要事実は、実体法上の権利の発生、変更、消滅を発生させる、法律上の要件(要件事実)に該当する具体的な事実をいう。
(2)請求原因及抗弁がこれにあたる。
(3)抗弁とは、(ア)請求原因事実と両立し、(イ)が請求原因から生じる法 律効果を否定する効果を発生させる事実をいう。
4 あてはめ
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づく代金支払い請求訴訟を提起した。
(2)上記訴訟の請求原因は、XとYの売買契約である。
(3)Yは、XとYの売買契約は成立したが、同契約は錯誤で取り消されるべきと主張する。このYの主張は、「XとYの売買契約」を認める点で裁判上の自白が成立する。
5 裁判上の自白の効果
(1)裁判上の自白が成立すると、当事者は、裁判上の自白と異なる主張ができなくなる。
(2)その後、Yが、XとXZの売買契約を理由に、、「XとYの売買契約」を否定するのは、裁判上の自白の撤回にあたる。
(3)したがって、上記の撤回は効力を有しない。

1 問題
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づく代金支払い請求訴訟を提起した。
(2)Yは、XとZの売買契約を理由に、「XとYの売買契約」を否定した。
(3)XはYに対する訴えを取り下げて、Zに対する訴訟を提起した。
(4)Zは、XとYとの売買契約を理由に、「XとZの売買契約」を否定した。
(5)Zの代表取締役Yの主張しており信義則上許されないのではないか。
2 信義則
(1)本件でのYの言動はどちらも第一回公判期日での主張である。Yとしては、当初はZだと思っていたが、その後Yが契約当事者だと考えたとしても不自然ではない。
(2)訴訟の初期段階であることも踏まえて、Yの主張は信義則上否定されない。
3 Xの対応
(1)XとしてはYに対する訴えを再度提起して、Zに対する訴訟に併合する(民事訴訟法152条)ことを認めることが考えられる。
(2)裁判所としては、従前の経緯を踏まえると、XがYともZとも契約をしていないという不自然な事実が認定されるのは不都合があるとして弁論の併合を認めるべきである。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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