Q パワハラと言われない、問題社員への注意の方法を教えて下さい。問題社員と何を話し合うべきですか。(パワハラ対策・問題社員への指導問題)
2026/08/28 更新
指導記録が裁判で「使えない証拠」になる理由
(1)「問題社員に何度も注意してきた」「指導記録も残してある」、と聞いていて、解雇や処分の手続に進むしかなくなった時点で、全く資料が無いということがよくあります。
(2)なぜ現場の指導記録が存在しないのか。
現場の「指導記録」や「始末書」は不十分
(1)解雇前に、弁護士や人事担当者に最終確認をとったところ、以下のような理由で、裁判の証拠に使えないと指摘を受けることがあります。
・始末書の内容があいまい。
・そもそも定期的な面談記録が残っていない
(2)「何度注意しても改善しないから」という理由で、そもそも、問題社員について放置されていることが多数です。
(3)現場のマネージャーにとって問題社員の指導・記録は「やりたくない不毛な仕事」になりがちです。
しかし、これが有事の際のリスクになります。
裁判官は「前提知識ゼロ」で証拠を見る
(1)裁判官は現場の業務を知りません。裁判官が見ただけで「その社員が標準水準を満たしていない。」と一目で理解できるか、が最大のポイントです。
◆「ダメな記録」の例
「1時間あたり40匹の魚をさばくのがノルマだが、Bさんは20匹しかさばけなかった」
一見具体的に見えますが、裁判では相手から次のように反論されます。
×「そんなノルマの基準は存在しない」
×「他のCさんは40匹やるが、切り方が雑だから比較にならない」
(2)後日の言い訳に備えた文書作りが必要です。
指導記録を作る5つのステップ
1 相手の「言い訳」を予測してチェックする
裁判になったときに、 「相手がどんな反論(言い訳)をしてくるか」を箇条書きにし、指導記録だけでその反論を完全に論破・カバーできるか確認します。
2 「第三者(前提知識のない人)」にチェックしてもらう
見せてもらった記録に対し、第三者が「これどういうこと?」と質問してもらいます。これを口頭で説明します。その口頭の内容をA4用紙1枚にまとめ直します。
これが「前提知識のない裁判官」にも一目で伝わる理想の文書になります。
3 客観的な評価基準について合意する。
問題社員の成績を評価すべき客観的な基準を話し合いましょう。
通常「〇〇が目標となる。」と思うがどうか、と聞いて、社員からも「そうですね。」という形で一緒に基準について話し合いましょう。
合格基準を満たす努力の前に、「合格基準」について合意することが必要です。
4 社員の言い訳を記載する。
社員の言い訳もしっかり記載しましょう。言い訳を記載しておくことで、後日、他の言い訳を防ぐことができます。
ますは、「合格基準の設定」 → 「現時点の評価の確認」 → 「言い訳を記録する。」という手順です。
5 定期的に「法務・専門家」を立ち会ってもらう
指導の最初の2〜3回は、法務担当者や弁護士にオンライン(Zoom等)で同席・立ち会ってもらいます。プロの目線で「どのようなやり取り・合意形成をすべきか」のイメージを現場マネージャーに掴ませた上で、現場へ引き継ぎます。
「気合、根性、活を入れる」はNG
(1)現実問題として、問題社員のスキルが劇的に改善することは難しいでしょう。
また、多くの改善点の指摘は、ダメ出しにしかなりません。
(2)問題社員と話し合うべきは、「問題社員の現状を比較する合意理的な基準を話し合って決めること」につきます。
(3)もちろん、問題社員と3つ程度の努力目標を話し合って決めることも大切です。
多くを望むと何も進まないことが多いです。努力目標は3つまでが現実です。




