判例(「相続財産の範囲で〇〇円を支払え」との限定承認の存在及び効力を認めた前訴訟の確定判決について、後訴訟にて、前訴訟の口頭弁論終結前に発生していた事情に基づいて限定承認の効力を争うことは許されない。
2026/08/29 更新
最判昭和49年4月26日民集28巻3号503頁
(1)「限定承認が成立しているので、仮に支払いが認められたとしても、その支払額は相続財産の範囲に限られる。」との限定承認の主張がされたとしても、限定承認の存在及び効力は訴訟物とはならない。
(2)しかし、限定承認の存在及び効力は、訴訟での争点となることや、主文で「相続財産の範囲で〇〇円を支払え」と記載されることから、主文で限定承認が認められれば既判力に準じた効力が認められる。
(3)「相続財産の範囲で〇〇円を支払え」との限定承認の存在及び効力を認めた前訴訟の確定判決について、後訴訟にて、前訴訟の口頭弁論終結前に発生していた事情に基づいて限定承認の効力を争うことは許されない。
解説
(1)判例は、限定承認の存在及び効力は訴訟物とはなっていない、とする。したがって、例えば、主文の債権について限定承認を争うことはできないが、別の債権については限定承認の存在及び効力を争うことができる、と理解される。なお、争点効や信義則の問題が生じることがある。
(2)また、同様の理屈により、当事者が前訴で限定承認の主張をしなかったために、無留留保で請求を認める判決が確定した。その、後日、限定承認をしているのでその支払は相続財産の範囲に限られる、と争うことは否定されていない。
参考
民事訴訟法判例百選(第6版)168頁




