民事訴訟

Q 平成元年の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/09/04 更新

第1
1 問題
(1)債権者甲が債務者乙に対し貸金返還請求訴訟を提起しその判決が確定した。・・・・①主債務の訴訟
 この判決については、例えば、債務者の債務が存在しないと確定したとする。
(2)実体法上、債務者の債務が不存在となれば、付従性により、保証人丙の債務も不存在となる。
(3)債権者甲と保証人丙との訴訟(・・・②保証債務の訴訟)において、①の主債務の訴訟の結果を援用できないか。
2 訴訟法説
(1)確かに、「既判力によって訴訟物となった権利関係が変化する(実体法説)」と考えれば、例えば、主債務者と債権者との間で主債務の履行請求訴訟において、主債務者の勝訴が確定した場合、保証債務の付従性から、債権者は保証人との関係で、保証債務の履行をできなくなると考えるので、実体法上との整合が取れます。
(2)しかし、「既判力とは、確定判決が後日の訴訟に及ぼす拘束力である(訴訟法説)」ので、上記のように考えることはできない。
3 反射効力
(1)反射効とは、「実体法上、前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者に対し、既判力を及ぶ(反射効)」という考え方である。
(2)しかし、反射効の根拠や、要件が明確ではない。
4 反射効の否定説
(1)既判力の根拠は手続保障であり、訴訟に関与していない第三者に判決の効力を及ぼすことはできない。
(2)確かに、実体法の統一的解決が望ましい。しかし、例えば、主債務者が夜逃げしており、全く争わずに判決が確定した場合に、保証人に主債務者の判決の効力が及ぶことを正当化できるか、と考えれば、第三者である保証人の手続保障の観点からは、訴訟に関与していない第三者に判決の効力を及ぼすことはできない。
(3)既判力は第三者に及ばないことを原則としている以上は、3者間の訴訟において、判断が異なるのはやむをえない。
5 結論
 以上、②保証債務の訴訟において、①の主債務の訴訟の結果は影響を及ぼせない。

第2
1 問題
(1)債権者甲が保証人丙に対し貸金返還請求訴訟を提起しその判決が確定した。・・・・①保証債務の訴訟
 この判決については、例えば、主たる債務が存在しないことから、付従性によって、保証人の保証債務が否定されたことが確定したとする。
(2)実体法の統一解釈からすれば、債務者の債務の不存在を確定させてもよいだろう。
(3)債権者甲と債務者乙との訴訟(・・・②主債務の訴訟)において、①保証債務の訴訟を援用できないか。
2 検討
(1)しかし、本件では、②の債務の訴訟物は保養債務であるから、主たる債務の存在は訴訟物ではないし、②の訴訟の既判力の対象ではない(民事訴訟法114条1項)。
(2)民事訴訟法は、既判力は第三者に及ばないことを原則としている。
(3)したがって、仮に既判力が第三者に及ぶという考え方もしていても、①保証債務の訴訟の訴訟物に含まれていないから、②主債務の訴訟において、①の保証債務の訴訟の結果は影響を及ぼせない。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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