民事訴訟

Q 平成2年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/08/31 更新

1 問題
(1)甲は乙に対し、建物所有権に基づく建物を明け渡し請求を提起した。
(2)乙は、建物は取り壊されて、甲の所有権を争い、建物の所有権は乙にあるとする。
(3)甲は乙に対し、土地所有権に基づく乙所有の建物に関し建物収去土地明け渡し請求へと訴えを変更できるか。
2 訴えの変更
(1)訴えの変更は、従来の旧請求に新請求を追加する追加的変更と、従来の旧請求に代えて新請求を提示する交換的変更がある。
(2)追加的変更の場合には、後発的に請求の併合が生じ、新旧両請求の関係により、単純変更、予備的併合、選択的併合がある。
(3)交換的併合は、旧請求の取下げと、新訴訟の提起という性質を有する。
3 本件での選択
(1)本件では、訴えの追加的変更を行うことが望ましい。
(2)両請求において、「建物所有権が甲にあるのか、乙になるのか」争点となるが、両方を併存させることで原告である甲としては、どちらの訴えでも勝訴できるからである。
4 訴えの変更の要件
(1)訴えの変更をするには、「請求の基礎に変更がないこと」、「著しく訴訟手続きを遅延させないこと」が必要です(民事訴訟法143条)。
(2)原告が明け渡しを認めているがその法的主張の変更に過ぎないこと、争点は乙の占有権限であることが共通しており、被告が建物についての甲の所有権を争ったことによって、甲が建物の所有権が乙にあることを前提とする訴えを提起したものであり、訴訟を遅延させるものではなく、訴えの変更の要件が満たされる。と
5 請求の客観的予備的併合
(1)客観的予備的併合は、複数の請求が両立しえない関係にあって、主位的請求が認められないことを解除条件として、予備的請求について審理を求める場合である。
 法律上請求が両立しない場合には、原告の両方の請求が棄却されて矛盾した判決となることを防げること、両請求をみとめることで、紛争の一回的解決が図れることから予備的請求も認められる。
(2)本件では「建物所有権が甲にあるのか、乙になるのか」によって、両請求は両立しえない。
(3)したがって、原告はどちらの請求を主位的請求とし、どちからの請求を予備的請求とするか決めなければならない。
(4)なお、予備的併合となれば、両請求について弁論の分離は許されない。
以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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