民事訴訟

Q 平成21年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/09/03 更新

第1
 1 同時審判申出共同訴訟 
(1)同時審判申出共同訴訟の要件として、①「共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある」ことと、②同時審判の申し出が必要である(民事訴訟法41条) 。
(2)Xは、ZがYの代理人として、売買契約を成立したとしてYに対し履行を求めて、Xに対してはZに対しては無権代理人としての債務(民法117条)の履行を求める訴えを提起している。
 両請求は代理権の有無で矛盾するために、両請求は法律上両立しない。
(3)Xは同時審判の申立てがされている。
 2 分離の可否
(1)同時審判の訴訟では分離が禁止される(民事訴訟法41条1項)。
(2)裁判所は、Zについて弁論を分離してX勝訴の判決をすることができない。

第2 
1 問題
(1)Xは、ZがYの代理人として、売買契約を成立したとしてYに対し履行を求めて、Xに対してはZに対しては無権代理人としての債務(民法117条)の履行を求める訴えを提起している。
(2)Yは、Zに対する代理権の授与を争ったが、裁判所はZに対する代理権の授与された、と判断した。
(3)Zは欠席しており、自白したものとみなされる(民事訴訟法159条1項、3項)。
2 判決
(1)裁判所は、Yに対し裁判所はZに対する代理権の授与されたとして、売買契約が成立し、Yにする履行を求める認容判決を下すべきである。
(2)裁判所は、Xに対し裁判所は、Zが欠席しており、Zは代理権の授与の主張をしていないとして、無権代理人の責任を認め、Zに対する認容判決を下すべきである。
3 同時審判申出共同訴訟の性質
(1)上記の結論では、矛盾した結論が出てしまう。
(2)しかし、同時審判申出共同訴訟も通常共同訴訟である。
4 共同訴訟人独立の原則
(1)通常共同訴訟は、個別の事件について一定の関連性があるため (民事訴訟法38条)、 1つの手続に併合されているに過ぎない。
(2)共同訴訟人の一人がした訴訟行為(自白、期日の欠席、訴えの取下げ、訴訟上の和解、上訴の提起)は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。
5 主張共通は適用されない
(1)共同訴訟人の一人がした事実主張について、他の共同訴訟人が援用しない場合には、その事実主張は他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。
(2)本件では、Zが代理権の主張をしていない以上は、裁判所は同事実を認定できない。したがって、上記のとおりの結論となる。

第3
1 問題
 第一審で、XのYに対する訴訟は棄却されたが、Yに対する訴訟は認容した。この訴訟にXがYに対する訴訟に控訴した。この場合にZの訴訟はどうなるか。
2 共同訴訟人独立の原則
(1)同時審判申出共同訴訟も通常共同訴訟である。
(2)通常共同訴訟では、証拠共通の原則を除いて、共同訴訟人の1人の訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。
(3)共同訴訟人の一人が控訴しても、控訴していない他の共同被告人の訴訟には影響を与えない。
3 あてはめ 
 YとZの訴訟については、どちらも控訴せず確定しているので、控訴審は同訴訟について審理しえない。
以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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