民事訴訟

Q 平成13年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/09/04 更新

甲は、乙に対し、自己の所有する土地について偽造書類によって甲から乙に所有権移転登記がされているとして、甲から乙への所有権移転登記の抹消及びA土地の所有権確認を求めて訴えを提起した。

1 乙の債権者である丙は、甲乙間の訴訟に補助参加することができるか。

2 甲乙間の訴訟の係属前にA土地を乙から買い受けたと主張する丁が甲乙間の訴訟に参加した。この場合に、丁は、それまでの訴訟の中で乙が自白した事実を争うことができるか。

第1 
1 問題
(1)甲と乙で土地所有権について争いがあり、移転登記の抹消や所有権の確認訴訟が提起されている。
(2)乙の債権者である丙は、甲乙間の訴訟に補助参加することができるか。
(3)丙は補助参加の利益を有するか。
2 補助参加
(1)補助参加するには、「訴訟の結果について利害関係を有する」(補助参加の利益)を有していることが必要です(民事訴訟法42条)。
(2)補助参加の本質は敗訴責任の分担である。参加者が参加して応訴したが、被参加人が敗訴した場合、被参加者の判決主文又はこれを導く請求原因により、参加人の権利が害されるか場合に補助参加の利益が認められる。
3 補助参加の利益
 「訴訟の結果について利害関係を有する」は、① 補助参加人の法律上の地位(法律上の利害関係)、②訴訟の結果、③②によって③がどのような影響を受けるかを考慮して判断される。
4 あてはめ
(1)丙は、乙の債権者であるにすぎず、甲乙間の訴訟の結果によって乙の財産が増え、債権回収の可能性が高まる等の関係しかなく、判決の関係で直接的な利害を持たないので、補助参加の利益を有しない。
(2)丙は甲乙間の訴訟に補助参加することができない。

第2
1 補助参加
 丁は甲乙の訴訟に補助参加して、乙が自白した事実について、丁はこれを争うことができるか。
2 補助参加の利益
(1)A土地を乙から買い受けた丁は、甲乙間の訴訟で乙がA土地について無権利者となれば、民法94条類推等で保護されない限り、土地所有権を失う。
(2)丁は、甲乙間の訴訟に補助参加する補助参加の利益を有する。
3 補助参加人の地位
(1)補助参加人は被参加人の訴訟活動を助けて自己の権利を守る者である。
(2)補助参加人が被参加人と相手方の間の訴訟に参加した時点で被参加人がすでになしえなくなっている訴訟行為は、補助参加人もすることができない(民事訴訟法45条1項ただし書)。
(3)丁は、甲乙間の訴訟に補助参加した場合、乙の自白を争えない。

第3
1 独立当事者参加
(1)丁は甲乙の訴訟に独立当事者参加して、乙が自白した事実について、丁はこれを争うことができるか。
(2)甲は乙に対し所有権に基づく移転登記抹消請求権と所有権の確認の訴えを提起する。・・・①
(3)丁は甲に対し所有権の確認の訴えを定立する。・・・・②
(3)丁は乙に対し所有権に基づく登記移転請求の訴えを定立する。・・・③
2 独立当事者参加の権利主張参加
(1)独立当事者参加の権利主張参加には、「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」ことが必要です(民事訴訟法47条1項後段)。
(2)具体的には、参加人の請求と被参加人の請求(本訴請求)が論理的に両立しえない関係にあることが必要である。
5 あてはめ
(1)②の訴えと、①所有権に基づく移転登記抹消請求権と所有権の確認の訴えとは、訴訟物が異なる。しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、①と②の請求は両立しえない。
(2)③の訴えと①の所有権の確認の訴えも訴訟物が異なる。しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、①と③の請求は両立しえない。
(3)よって、甲は、①の訴訟に独立当事者参加の権利主張参加できる。
6 独立当事者参加における参加人の地位
(1)独立当事者参加訴訟の審理・判決については、必要的共同訴訟の審理・判決に関する 40条1項から3項が準用されます (民事訴訟法47条4項)。原告・被告・参加人の三者間で矛盾のない統一的な判決がされることを保障するためである。
(2)たとえば、被告が原告に対して自白をしても、参加人が争う限り、原告・被告間でも効力を生じない(民事訴訟法40条1項の準用)。
(3)丁は、甲乙間の訴訟に独立当事者参加した場合、乙の自白を争える。
 以上


 


弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

ご質問・ご相談などお気軽に
お問い合わせください。