民事訴訟

Q 平成3年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/09/05 更新

第1 
 1 問題
(1)甲は乙に対し貸金を請求する訴訟を提起した。・・・①
(2)①の訴訟中に、甲は上記の債権を丙に譲渡した。
(3)乙は、丙に対し訴訟引き受けの申立てができるか。
 2 被告の債権喪失の抗弁
(1)①の訴訟はどうなるか。
(2)被告としては、原告が債権を譲渡したので、債権喪失の抗弁を主張し、原告の請求の棄却を求めることができる。
(3)しかし、これでは、原告と被告の訴訟の既判力は、債権を譲り受けた第三者に及ばない。したがって債権を譲り受けた第三者から訴訟を提起されるリスクがある。
(4)乙は、丙に対し訴訟引き受けの申立てができるか。
3 引受承継
(1)引受承継は、訴訟引受けの申立てに基づき、裁判所が引受決定をすることによって行われる。その後の訴訟手続には、民事訴訟法41条1項、3項が準用される(50条3項、51条)。
(2)つまり、通常共同訴訟の一種である同時審判申出共同訴訟になる。
(3)乙は、丙に対し訴訟引き受けの申立てができる。

第2
 1 問題
 引受承継によって、丙はどのよう訴訟上の地位に立つか。
 2 訴訟承継の効果
(1)引受承継においても、承継人は、承継原因が生じた時までに形成された従前の当事者(前主) と相手方の間の訴訟状態を、全面的に(有利・不利を問わず) 引き継ぎます。
(2)たとえば、承継人は前主がした自白に反する主張をすることができず、時機に後れたものとして前主がすでに提出できなくなっている攻撃防御方法を提出することもできません。

第3
 1 問題
(1)甲は乙に対し貸金を請求する訴訟を提起した。・・・①
(2)甲は丙に対し貸金を譲渡したと主張した。
(3)引継承継により、甲は丙に対する貸金を請求する訴訟を提起した。・・・②
(4)引継承継の効果によって、①と②の訴訟は通常共同訴訟の一種である同時審判申出共同訴訟となった。
(5)裁判所が、甲丙間の債権譲渡の事実が存在しない、つまり、訴訟承継の要件を満たさないと判断した場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。
2 判決
(1)①の訴訟については、債権譲渡がなかったのであるから、貸金請求が認められれば認容判決を、貸金請求が認められなければ棄却判決をすべきである。
(2)これに対して、②の訴訟について、甲丙間の債権譲渡の事実が存在しない、したがって、訴訟承継の要件を満たさない、②の訴訟については、当事者適格を欠くとする判決をすることが考えられる。
(3)しかし、「甲丙間の債権譲渡の事実が存在する。しない。」は本案の問題であるから、②の訴訟については、請求棄却判決を下すべきである。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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