判例(Xは、特定日時の口頭のやりとり、メールのやりとり、電話のやりとりのうち、11個の行為についてパワハラにあたるとして主張した。裁判所は、11個の行為のうち5個の行為について不法行為の成立を認めた。Xは精神障害の発症を主張したが、裁判所は因果関係を否定し、慰謝料50万円、弁護士費用5万円の合計55万円の支払いを認めた。)
2026/09/06 更新
大阪地判令和7年3月14日判例タイムズ1546号201頁
(1)Xは業務委託を受けており、雇用関係にないが、Yの社員Aから具体的な指示命令を受けて委託業務を行っており、社員Aが発注者としての優越的を利用して社会的相当性を欠けば不法行為が成立し、Yはその責任を負う。(2)Xは3か月間、業務委託として社員Aのもとで働き、様々なパワハラ行為を受けたと主張した。
(3)Xは、特定日時の口頭のやりとり、メールのやりとり、電話のやりとりのうち11個の行為についてパワハラであると主張した。(なお、11個中9個がメールのやりとりである。)
(4)裁判所は、11個の行為のうち5個の行為について不法行為の成立を認めた。
(5)Xは精神障害の発症を主張したが、裁判所は因果関係を否定し、慰謝料50万円、弁護士費用5万円の合計55万円の支払いを認めた。
解説
1 パワハラの審理
(1)パワハラは、継続して行われるために、何を立証の対象とするか難しい。
(2)パワハラを主張する者は、立証の難易度を考慮して、(メール等で相手方否定できないことを前提とした)特定の日時でのやりとりや、録音されている会話、メール等を立証の対象とするしかない。
(3)パラハラの主張についても、孤立化させる行為、実現不可能な仕事の依頼、理不尽な叱責、人格を非難する言動であること等を立証していく。
2 Xが主張した11個の行為
(1)Xは、特定日時の口頭のやりとり、メールのやりとり、電話のやりとりについて11個の行為についてパワハラであると主張した。(なお、11個中9個がメールのやりとりである。)
(2)これは、パワラハの立証では具体的なやりとりの有無と、それが違法であるかに分けて争われることから、特定の行為にしぼって立証するしかなく、立証の方法として参考となる。
3 当事者の主張
(1)当事者の主張は以下のような表を作って整理されています。
(2)なお、下記の表は、判例で引用されている表と同じではない。
| 日時 | 概要 | 原告の主張する事実 | 原告の主張する評価 | 原告の引用する証拠 | 被告の主張する事実 | 原告の主張する評価 | 被告のの引用する 証拠 | |
| 1 | 〇月〇日 | 〇〇 | 〇〇であるから、理不尽な叱責 | 〇〇であるから、〇〇を目的とした正当な業務である | ||||
| 2 |
4 裁判所の事実の認定
(1) 裁判所は以下のような表を作って判断をしました。
(2) なお、下記の表は、判例で引用されている表と同じではない。
| 日時 | 概要 | 裁判所の認定する事実 | 証拠 | 裁判所の評価 | |
| 1 | 〇月〇日 | 〇〇 | 〇〇が認められ、〇〇と認定する。 | 〇〇であるから、違法行為とはいえない。 | |
| 2 |
5 裁判所の損害の認定
(1)裁判所は、11個の行為のうち5個の行為について不法行為の成立を認めた。
(2)Xは精神障害の発症を主張したが、裁判所は因果関係を否定し、慰謝料50万円、弁護士費用5万円の支払いを認めた。
6 総括
(1)パワハラは、継続して行われるために、何を立証の対象とするか難しい。
(2)このようなパワハラ訴訟について、どのように審理を進めていくのか、を参考になる判例です。




